ホームページ
設計者協会主旨
会員名簿
コース設計家の歴史
会員設計家のコース紹介
ゴルフマネジメントへの寄稿
GCAジャーナル
お問い合せ
リンク
会員への連絡
 





気になるゴルフ
日本ゴルフサミット会議
「気になるゴルフ」

やめてくださいスポーツ課税
やめてください
スポーツ課税


JSGCA名誉協力会員
秋山 真邦 著


golmaji20

個人情報保護方針
サイトポリシー

 
 
   
一般個人会員募集 事務局からのお知らせ
21世紀ゴルフへの提言
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2004 Dec. 協力:一季出版(株)
ABCゴルフ倶楽部の1グリーン化改造工事
横山 良
 

日本の経済は漸く長い不況から脱出しつつあり、各地で景気の回復感を示す数字も現れだしているとのことであるが、わがゴルフ界を取り巻く環境は相変わらず厳しいものがある。しかしながらかかる状況下にあってもなお、プレーヤーのニーズに応える為、或いはコースの品質、グレードの向上の為、多大な経費と営業的負担にも拘わらず、大規模な改修に取り組んでいる倶楽部がある。その真摯な姿勢と熱意は高く評価されるべきであろう。

現在行われている改造工事の主たるものはグリーンの改造工事であろう。2グリーンの1グリーン化、高麗グリーンのベントグリーン化などが多いのではなかろうか。私もここ数年間で6コース程、グリーンの改造工事の設計、並びに工事監修に携わってきた。それぞれのコースの有り様によりそれぞれその内容を異にするがそのうちの1例、ABCゴルフ倶楽部の改造工事を紹介して諸兄の参考に供したい。

毎年10月の最終週に秋のビッグイベントとして関西のゴルフファンに定着した観のあるプロゴルフトーナメントを開催しているのが、ABCゴルフ倶楽部である。その冠をラークカップ、フィリップモリスチャンピオンシップ、ABCチャンピオンシップと変えながら16年連続の開催となっており、テレビ放映による最終18番ホールの池越えのPAR5によるスリリングなドラマと相俟って全国のゴルファーの広く知るところとなっている。

この倶楽部は巻末の「ゴルフコース百景」で触れているように、母体のABC朝日放送がトーナメント開催を前提に建設した。十分な距離(7140Y)とたっぷりとしたコース幅、そして多くのギャラリーを収容できるスペースを確保しつつレイアウトがなされた。しかしながら計画当時、関西においては未だベントグリーンによる通年(特に高温多湿な夏季)の良好なコンディションが担保されておらず、議論の末に課題を積残したまま、ベントと高麗の2グリーンのレイアウトとなった。

しかし、ゴルフコースの本来の姿は当然ながら1グリーンであり、2グリーンタイプはやはりローカルな異形と言わざるを得ず、長期的な倶楽部の展望の議論の中で、不可避の案件とされていたのであったが、折しも2005年、開場20年を迎えるにあたり記念事業として1グリーン化改造工事に着手することが決断された。

工事の手順としては営業の継続の中での改造工事が検討され、サブグリーンでの営業と並行してメイングリーンの見直しを行い、完了後、サブグリーンを撤去して1グリーン化を完成させることとした。幸いなことに、当コースはメインとサブが比較的離れてレイアウトされていたので、このことが可能となった。

私が他で携わった改造工事ではいずれも冬季1月.4月まで営業を休止しての改造工事であったこととくらべ、従業員の雇用の問題等リスクを最小限にしての工事となった。

メイングリーンの見直しにあたって、その配置に問題のないグリーンについては、基盤の排水構造、及び、床砂の下層をそのまま残し、表層20pについては鋤取って入れ替え、合わせて表面のアンジュレーションの変更を行った。事前の入念な調査により、新設時の基盤排水層が完璧に機能しており、かつ、下層の床砂も十分な透水性を維持していることが確認されたので、工事費削減と工期の短縮にも有効な工法と判断した。18ホール中13ホールがこの工法によった。

残る5ホールについてはその位置、高さ、周囲のレイアウトの改良が必要と判断し、グリーンエリア全体での改造工事となった。

グリーンの構造は所謂USGA方式で、表層15pについて改良剤を10%混合したものを敷き均した。

草種はAシリーズで、A―1、A―2、A―4を等量混合して使用した。工事前年の5月に業者に発注し生育したものを張芝にて仕上げた。

本工事のもう一つの要点はサブグリーンをいかなる形で撤去するかということである。只単にフラットに取り去っただけでは、コース内に無意味な空間が間延びした形で存在することとなり、戦略上も景観上も2グリーンの残滓の残る失敗作となるであろう。戦略上の必要に応じ、バンカーの新設、マウンドの築造、ハローの造成、フェアウェイラインの見直し、植栽等々各ホール毎に十分吟味しながら計画を練る必要があろう。現在までに数ホールについてこの作業を行ったが、05年冬季に残りのサブグリーン撤去工事を行い、工事を完了させる予定である。以下2工法の工事例を図示し紹介する。

図(1)は、基盤排水層を残して表層のみ改造したホールである。従前の面は傾斜がきつく、中央部では4%を超える勾配であったため、ボールが停まりにくく、ピンポジションとして不適と思われた。中央部床砂層を厚くして斜めに段を設け、高低差を吸収した。下段に2カ所、上段に3カ所のピンポジションを設定して、それぞれ2%弱の勾配とし、高速化するコンディションに対応できるようにした。

サブグリーンの撤去にあたっては、従前のFWより一段低くなるまで鋤取り、ガードバンカーをよりビジュアルにするとともにハローを設けてFWの排水性にも資するよう配慮した。

図(2)は、グリーン周囲を含めて見直したホールである。距離の短いPAR5なので、難度を高めたいホールである。手前の池をグリーン寄りに拡げ、特に右手前がシビアになるようレイアウトした。単調であった面にうねりを設け、右手前、左手前、中央、右奥と性格の異なるピンポジションを設定した。グリーン奥のハザードは従前のまま残した。

サブグリーンの撤去にあたっては、3オンを狙うプレーヤーに良好なライを提供できるFWとなるよう配慮する。

ゴルフコースを設計する者の多くは「上手には難しく、下手には易しいコース」を一つの大きなテーマとしていると思う。少なくとも私はそう思っている。しかしながら、現実にはトッププレーヤーのバーディーラッシュと、未熟な者の無謀な冒険によってその想いは踏みにじられることになる。しかしまあ、だからこそ、ゴルフは面白いのであろう。

 

掲載順不同
クリックすると各コースの情報ページが表示されます。
詳細は各コースにお尋ねください。