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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2004 Oct. 協力:一季出版(株)
多様なカート運営システムの確立を


日本ゴルフコース設計者協会 理事
嶋村唯史

 

カート導入前と導入後

今までこの欄を借りて「ゴルフコースの遺言書」、「コースの主治医」というテーマで2回、私の考えを述べさせて頂きました。今回は乗用カート導入の初期から今日までの流れを振り返りながら、運用システムの変革と今後の動向について意見を述べたいと思います。

バブル崩壊以後、景気が回復してきたという声も聞かれますが、実際にはゴルフマーケット縮小の流れは依然止まらないようです。そのなかで多くのゴルフ場は生き残り手段を摸索しその選択肢の一つとして、固定費削減による経営見直しを進めております。これが乗用カート導入の一番の理由であり、日本のゴルフ場運営システムの主体も乗用カートを中心とした流れに移行しつつあります。実際にここ数年で乗用カートの普及率(導入率)は90%を超えており、当然のようにコース設計家への相談もカート導入に基づいたコースのリデザイン、改修等の内容が多くなってきております。具体的には運営システム変更に伴うカート動線の見直しと、走路設置に関する設計アドバイスです。実際に私も今までほぼ共通したテーマで30箇所ほどのカート導入計画にタッチしてまいりました。

私が初めて乗用カート導入計画にタッチしたのは約11年前の平成7年、場所は千葉県の大原・御宿ゴルフコースで謂わずと知れた名匠・井上誠一氏の最後の設計コースです。氏は同コース工事中(昭和56年)に当時3ホールのデザイン指導を残されて73歳で熱海の病院で亡くなりました。当時私は氏のカバン持ちをしており折に触れてコンセプトを聞いていたことと、詳細なデザイン(スケッチ)図面が残されていたおかげで、若いスタッフ同士でどうにかコースを造り上げる事ができました。

その大原・御宿に新たにカート導入計画が持ち上がりました。私にとって大変な仕事が舞い込んだ驚きと、井上氏設計コースというプレッシャーとが一気に押し寄せてくる感じでした。不安の中まず、いかにカート道路を配するか自分なりのコンセプトを創ろうとしましたが、当時の乗用カートの普及率はまだ30%を超える程度であり、参考にすべき使用実績のデータすらありません。そこでまず乗用カート自体がどう思われているか、カートの好き嫌いから採用した近隣ゴルフ場の経緯やその後の評判などを幅広く聞いてみることにしました。その結果一番難しいのは関係者の意見をまとめることであり、その担当である支配人の日々の苦労が痛いほどよくわかりました。参考までにそのとき聞いた代表的な意見の一部を書き出してみましょう。はじめは「格が落ちる、うちはパブリックではない」「ゴルフは歩いてやるものだ、乗り物に乗るなんてとんでもない」「スピードが遅くてイライラする」「ここのコースに道路を入れることは無理だ、デザインが死んでしまう」「アップダウンがきつく安全性が確保出来ない(電磁誘導カートができる以前の話)」という具合です。そして導入後は「意外と楽だ、君、カートはないのかね?」「意外と道路が気にならない。馴染んで来たのかな」「夏場のゴルフが楽になった。これからはカートだな!」などまるで手の平を返したようです。

話を聞くうちに別の意味で最も参考になったのは若い人も含めたゴルファーのニーズ、つまり求めているプレースタイルの形が浮かび上がってきたことでした。例えば最近のスタート予約では「おたくのゴルフ場にカートはありますか、今日はベントグリーンですか」という問と「カートとキャディ付きでコンペをやりたい」という要望が多く、その中で最も人気のプレースタイルはカートを使ったセルフプレーでした。また、カートに乗ることに関しても、老若を問わない傾向があるようです。

話を大原御宿に戻します。その後コンセプトの構想を練り上げるために現地支配人はじめスタッフとのヒヤリングを繰り返しました。その中でひとつの救いと勇気を与えられた事がありました。調べていた昔のデータ(メモ)の中から将来乗用カートを入れる時がくるかもしれないという井上氏の言葉を見つけたことでした。原設計者のメモの短い一言が「君しっかり造ってくれよ」と言われているようで、私が感じていたある種のもやもやとプレッシャーを吹き飛ばしてくれました。コースのほうは雄大なシーサイドの再現とカートの爽快感とのハーモニーをテーマに仕上げたつもりです。評価については皆さんにおまかせしますのでご意見をお聞かせください。

話が多少前後しましたが、これから重要なのは新しいニーズに対し経営者も設計者もそれぞれ共通の認識をもつべきです。カート機種選定段階から「カート工事だからメーカーに任せておけ」とカート自体の知識がないために計画そのものをカートの性能・機能を一番知っているメーカー任せにしてしまうパターンが多々あります。これも短絡的だと思います。例えばカートを有効に活用するためには運営動線を中心とした現状ゴルフ場施設全体の見直しがベースとなります。今はカートを導入しただけの段階です。これからのテーマは幅広くカートの使い方のバリエーションを検討し、新しいゴルフスタイルもしくはゴルファーニーズに対応出来る運営システムを作り上げることだと思います。メーカーも含めたそれぞれのパートナーが今まで培ってきたノウハウを持ち寄ってこのテーマを克服することが大切です。同時にそれにはやはりコンダクターが必要です。つまり誰かがトータルコーディネイターとして、総合アレンジメントをする時代に入ってきたのではないかと思っております。

3つの歴史的転換点

次にカート運用システムの今後の動向について考えてみたいと思います。それには今までどのような変革がゴルフ場になされてきたのか歴史的に振り返って見る必要があると思います。私は常々大きく分けて3つのターニングポイントがあったと考えております。最初は高麗の1グリーンからベント芝を併用したグリーン総改造期、つまり2グリーンへの移行の時代です。いうまでもなく「日本のゴルフ場の顔」として現在まで受け継がれている代表的デザインの配置パターンです。今後はベント系改良品種登場とともに再度1グリーンに戻る傾向にあるようです。二番目のポイントはグリーンセクションの共有化など近代メンテナンスに欠かすことの出来ない自動散水システムの一斉導入期です。そして三番目が今日中心となりつつある乗用カート導入によるオペレーションシステムへの切り替えだと思います。つまりグリーンデザイン(芝)、メンテナンス(水)、オペレーション(乗用カート)の流れです。さらにこれらが金太郎飴のように画一的かつ集約的に行われてきました。次に何が起きるか将来を展望をするのはなかなか難しいのですが、長い目でみますと先人達がはじめたゴルフ場終生事業の流れの一部のカート導入事業を、今、時代の担当者である我々が行っているだけなのかもしれません。

ゴルフの憧憬

私の理想とするゴルフスタイルに夕陽に浮かぶゴルフ場の中を2人の親子、年配のカップルがカートに乗りながら、のんびりかつ真剣にプレーを愉しんでいるそんな姿が憧憬としてあります。私は乗用カートを単なる車(道具)と考え、やはりアメリカンゴルフに戻っていくのかなとも考えておりました。しかしナビシステムやリモコン操作まで可能なカートとなると完全にロボット化してきているように思えて、芝の体感である本来のゴルフとの接点をどうしても見出すことが出来ずに悩んでおります。

 

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