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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2012 Jan. 協力:一季出版(株)
震災に学ぶゴルフ場の危機管理
日本ゴルフコース設計者協会
理事長 佐藤 毅
 

3月11日に発生した東日本大震災は東北、関東地区の太平洋岸地域に大きな被害をもたらし、未曾有の惨事として歴史に残されることになった。多くの犠牲者、被災者をはじめ、甚大な被害が出たが、まさに災害の恐ろしさを目の当たりにする出来事だった。災害の恐ろしさは事態に直面して初めて気付かされ、危機管理の重要性が改めて問われようとしている中で、ゴルフ場施設における安全、防災への備えも例外ではないことを実感させられた。
危機管理に対する備えといった意味では、防災面での意識をより高いハードルに設定すべきだと思うが、安全対策の指針作り、防災施設の保安はより重視すべき項目である。安全への備えは日頃の維持管理の一環として認識すべきであり、ゴルフ場という広大な敷地の中では構築物を含む地下埋設物など、安全管理が疎かになりやすい盲点があることも忘れてはならないし、その意味で震災の教訓を改めて見直すことが求められる。
今や地球規模で変化する異常気象、各地に頻繁化する豪雨災害なども見逃すことが出来ない。天変地異が各地に及ぼす影響を鑑みても、ゴルフ場施設の安全が改めて問われることになるが、コース建設過程の中では、防災安全の徹底から多くの工作物や構造物の設置が法令等によって義務付けられてきた経緯がある。時にはそうした構築物の実態確認さえ困難を強いられる場合もあり、全てを知り尽くことは容易ではないが、施設の防災安全を知る上からも、コース建設の歴史を今一度確認し、防災への認識を高めることに役立てるよう提言したい。

ゴルフ場の災害防止

ゴルフ場施設の安全確認といった意味では、コース建設の生い立ちを知ることが大切である。特に歴史の新しいコースは、丘陵地に建設されてきたケースが多いことから、切盛土の施工量が多くなる傾向にあり、建設時には予想しなかった地下水の変異、浸透水の滞留などが、時として災害発生の要因となる場合がある。また、工事完成後の土壌圧密沈下、土質、土壌の変化が地滑りを助長するなど、土砂崩壊の原因に繋がる危険性さえ秘めている。含水比の高い土壌などは特に地震の影響を受けやすいこともあり、崩落、崩壊回避のためにも、各施設における保安確認が不可欠である。
また、切盛土工の高さが数十メートルに及ぶといったゴルフ場などでは、基幹排水管などが地下深くに埋設されていることもあり、実態調査が難しいというケースも少なくない。地下深くに埋設された排水管、土止め構築物などの位置確認や形態、種類、施工規模などの確認が難しい場合は、維持管理が疎かになりやすいため注意が必要だ。
防災機能の確かな情報を得るためにも、見落とされがちな施設の状況確認に加えて位置確認を行うことは必須である。確実な調査を行うためにはコース建設時に作成された設計図書、防災施設位置図などが参考資料となるはずだ。

集中豪雨からゴルフ場を守る

異常気象の異変がもたらす記録的大雨、ゲリラ豪雨が各地に被害を及ぼしているが、豪雨被害から施設を守るための危機管理も重視すべきである。豪雨による被害は年を追う毎にその強暴さを見せ、わが国にとどまらず世界各地に大きな被害を出す状況になっている。年々被害の増加、増大が見られるのも近年豪雨の特徴であるが、ゴルフ場施設の災害防止の観点に立って、もう一度安全対策についての配慮を促したい。
ゴルフ場建設は各県によってその指導要綱に違いがあるものの、災害防止に関わる設計指針は最大安全値を根拠に算出される仕組みとなっている。防災施設や構造物等の設計にあっても同様に、大雨や洪水時における安全が担保されるよう、その基準は安全を考慮した余裕ある数値が指導基準に掲げられている。
しかし、これらの数値は近年の大雨、豪雨などを勘案すれば、安全率が少し落ちてきた感はいなめない。こうした過去の経緯から見れば、現在のゴルフ場は必ずしも安全が担保されているとは言い難い部分もあり、従来の設計強度、安全指数が時として設計容量不足に陥るなど、危機災害に対する不安を拭い去ることができないようだ。今まで十分な設計安全率とされてきた雨水排水管などが、異常といわれる豪雨によって安全神話が崩れる事態に遭遇することさえ考えられる。災害に対する安全をより徹底する必要があるが、災害を想定したリスク管理など、安全に対するチェックはゴルフ場の財産を守る上で大きな役割となることは間違いない。

構造物の安全確認と点検調査

この度の震災から私たちは多くの教訓を受けたが、この大災害から見えてくるゴルフ場の安全度検証のためにも、見落とされがちな施設の見直しについて改めて提唱してみたい。危機管理を考えるうえでは構築部材の劣化、耐用年数からの強度不足、老朽化による二次災害などが危惧されるが、盛土基盤に埋設された灌漑用送水管の破損なども注視すべき事項である。地盤沈下によって漏水が生じるなどがその一例だが、角張った礫岩を埋め戻し材として使用した結果、埋設管に破損を生じさせたり、地盤沈下が引き金で土砂崩壊を招くといった具体例さえある。
また、ゴルフ場内で使用する雨水排水管もその一例だが、雨水排水に利用する資材として、コンクリート製品、二次製品を使用している場合などは、地震、土圧などによって部材に荷重が掛かり、管の破壊、切断の危険に晒される場合もある。そうした意味での施工場所の安全確認、状況確認はより慎重を期すべきである。
排水管破損の原因を作り出すものの中には、地下深くに埋設されている管に限らず、地表からごく浅い位置に埋設された排水管などでも、同じような事故に遭遇する例もある。雨水排水管の大小にかかわらず、立木が多く存在する個所、植栽木が近くにある場所などでは、樹木の生長とともに根が密度を増し、排水管の接続部から根が管内に侵入し、それが原因で排水管の通水阻害、管の破裂を招くこともある。景観木として植栽した区域、根の密生が激しい樹木周辺は特に注意が必要である。こうした地下に埋設される排水管などの事故は、容易に発見することが難しく、日頃の点検、確認こそが最も重要とされる部分でもある。

工事完了竣工図

ゴルフ場建設では工事完了と同時に、竣工図を作成し保存しておくことが一般的である。コース内の構造物の種類、規模、位置形態などを図面上に表し、後の防災点検など維持管理に役立てるものだが、ホールの切盛土工、造形施工、排水管系統、灌漑配水、防災施設、電気系統、建築物、カート位置図などを明記した詳細図面である。竣工後の図書類はゴルフ場建設の歴史、工事過程を知ることは基より、非常時の点検確認など、施設管理に役立てることは勿論だが、施設改修、コース改造工事などでも大いに利用しうるものである。
しかし、近年はゴルフ場の経営交代が多くなり、その時にこうした図書が不明になることは珍しくなく、肝心の図面等が保管されていないなど、行方不明になっている例が少なくないとの話も仄聞する。不幸にしてこうした設計図書を紛失した場合は、新たな位置、配置図などの作成が必須課題だが、危機管理、安全管理を行う上できちんと管理することが重要である。ここで注意すべきは、竣工図書一式が揃っていると思えても、工事施工中に使用された図書類が残されている場合もあり、竣工図との区別をはっきり確認しておくことが必要である。

 

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