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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2015 Apr. 協力:一季出版(株)
第22回 長竹カントリークラブの巻
 

原設計/ 佐藤 昌
改造設計監修/ 倉上 俊治

「ゴルフコースは生きている芸術品だ」と語った人がいたとか。設計者はゴルフの理念を抱きながら、自然のフィールドに線を描く。立地条件にプラスして作家の個性の違いが生まれ、コースの味となってゴルファーの支持を集め、歴史が重ねられて育っていく。生き物であるだけに成長もあれば老化もあり、またゴルフ環境も変遷する。それだけにコース改造の必要性が問われるが、個々のゴルフコースによって改造の目的は異なる。
日本特有のツーグリーンをワングリーンにして戦略性を高めたり、古くなった原設計を現在にマッチしたものに替えるなど、改造のテーマはそれぞれ。この中にはコーライ芝のパッティンググリーンをベントグラスに変える例もある。
今回の長竹カントリークラブの場合はメインとして使用していたペンクロスベントグリーンはそのままに、サブグリーンのコーライ芝をベントグラスに替えることだった。
長竹カントリークラブの前身は、首都圏ゴルファーには懐かしい戸田カントリークラブである。オープンは昭和36年。荒川河川敷のゴルフコースとしてはグレードが高く、多くのゴルファーに親しまれていたが、国や埼玉県から堤防改修等で用地収用を迫られたことから、昭和57年11月1日を以てクラブを解散し、コースはパブリックとなった。
運営会社は現在の地に新コース建設を計画した。昭和41年当時の津久井町は草茸屋根が点在する山村。ゴルフコースには最適な立地条件で、この長竹地区に約85平方メートルの用地を得て昭和44年に建設開始。戸田カントリークラブ会員の夢が詰まった「規律ある健全なクラブライフの実現」を運営の理念としてスタート。当時何コースかあった都市部や河川敷コースの地方移転としてはゴルフコース、クラブ運営ともに成功した例といえる。
設計は佐藤昌氏。当初はペンクロスベントのAグリーンとコーライ芝のBグリーンのシステム。これは夏場対策としてコーライ芝のBグリーンをサブとして使用するもの。昭和46年の開場以来、ゴルフ業界の幾多の変遷の中でも順調に利用されてきた。

コーライ芝は時代に合わないという声から…

これだけ順調だと、なにゆえの改造なのかという疑問が湧いてくる。しかも昨今の改造のテーマと言えるワングリーン化でもない。メンバーやプレーヤーからの「コーライ芝は時代に合わない……」という声がその理由か。
この事情を受けて改造に当たった倉上俊治氏は「時代の要請というべきか、やはりパッティンググリーンにはコーライ芝は適さないという要望が強くなり、会社でもこうした声を無視できなくなったということでしょう」と語る。
たとえ夏場3カ月の使用といっても、パッティンググリーンの評判はコースの人気に大きく影響する。会社としては当然の選択であったといえる。
ただこれを機にベントのワングリーン化に踏み切らなかったのは、あくまでメンテナンス上の問題。長竹の場合、クラブの理念は健全なクラブライフの実現。ナショナルオープンクラスのトーナメント開催を目指しているのではなく、メンバーが1日楽しめるゴルフコースを目指しているわけで、戦略性をより高めるワングリーン化よりも、メンテナンス面、営業面でのリスクを考慮してのツーグリーンということ。ゴルフコースとして、これも一つの考え方である。ということでサブグリーンのベント化が始まった。

ベントグラスへの転換といってもただコーライ芝をはがして種を蒔けばいいのではない

「コーライグリーンの改造のテーマは、よりパッティングに適したベントグラスへの転換が第一でした。これを踏まえて、Bグリーンの改造、同時にバンカーや周辺の造形を行いました」と倉上氏。
素人が考えると単に芝種の変更といえば作業的にスムーズと思いたくなるが、そうはいかない。コーライ芝をはがして、ベントグラスを蒔けば……と言うと倉上氏に叱られた。
「そんな簡単なことではありません。ベントグラスに替えた場合、コーライグリーンの勾配ではきつすぎてパッティングには適しません。それに床土は植壌土だったので夏季の暑さに通気通水が悪く適応できない。そこでUSGA方式のサンドグリーンとし、芝草の播種テストをして、ニューベントグラスCY-2としました」(倉上氏)
こうして倉上氏の基本構想は決まり、2005年8月から11月まで測量及び設計にかかり、12月20日から翌4月末までの期間で工事が進められた。工事期間中も営業は続けられるので「まず1グリーンとなるので、2005年3月からAグリーンの更新作業を行いグリーンの強化を図った」と言い、手抜かりは無かった。
「ベントグラスへの転換で最も重要であったのが芝種の選定。昔と違って日本の気候、風土に適したニューベントが幾つも開発されてきました。長竹の場合にはいずれが最適なのか。また選定に当たって忘れてはならないのが、改造後もメンテナンスを続けていくグリーンキーパーの意見。私の場合、芝草も専門ですが実際に管理していくキーパーの意向は無視できない」と倉上氏。工事が終われば去っていく監理者でなく、メンテナンスを続けていくキーパーの意向が大切というのは大いにうなずける話。
そこで、ニューベントグラスの中から3種(CY-2、L-93、ペンA-2)を選び、その3種類の芝草の播種と育種の試験を行い、長竹の環境に適し、結果的に夏期の暑さに強いCY-2(国産初のニューベント)を選択することになった。

コーライのCY-2化における造形上の問題点

「結果的にグリーンの大きさは平均400平方メートル前後となり、グリーン周りの工事などで小さくなりました。また年間1,800ミリの降雨量を考慮し、グリーン床土はUSGA方式の暗渠排水管を配し、グリーン周りや、18ホール全体のウェット部分での暗渠排水管を敷設しました。スプリンクラーの位置変更もいうまでもない」と倉上氏。
単にコーライ芝をはがしてそこに種を蒔けばできあがりというわけにはいかないデリケートさがあったのだ。
グリーンの勾配にしてもコーライ芝では止まるボールがベントグラスでは止まらない。バックスピン、オーバースピンでコロコロとグリーン外に転がり出てしまうことになる。ベントグラスとコーライ芝の葉幅、硬さや密度の違いがもたらすものだが、コーライ芝の床土をそのままにして張り替えた場合、夏期に芝草は健全に生育しないし、病害に侵されやすいということのようだ。
播種では営業中の工事ということもあって防球ネットを張って営業を続けたが、シカの侵入には手を焼いたとか。「2mの防御網を張っても平気で飛び越えて、生えてきた芽をさらっていく。携帯ラジオを一晩中かけてシカを防いだものです。ラジオは効果がありました」と倉上氏。
工事は2006年3月末で終了。ベントグラスの養生を経て10月から使用している。改造から10年を経てこのツーグリーンの評判はいい。夏場でも快適なコンディションが維持され、メンバーからの受けも良いとか。
今やかつての山村、津久井町は政令都市相模原市緑区となり、都心からの交通ロケーションも圏央道の開通で楽になった。こうした状況の変化の中、健全コース運営を考えてきた長竹カントリークラブの将来が楽しみである。

 

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