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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2015 Jul. 協力:一季出版(株)
第25回 コース全体の改造に関する注意点
 

これまで協会メンバーによるコース改造の具体例を挙げて議論を重ねて来たが、そのほとんどは部分的な改造論議に終始した。主に2グリーンの1グリーン化改造だから。そこで、今回は副理事長・佐藤謙太郎氏に「コース全体の改造に関する注意点」を語って貰おう。コース設計家としてコース改造に取り組む姿勢とは? クラブ側との折衝の問題点とは? などを語って貰った。

……1グリーン化改造に取り組む設計家の考え方はどうしても部分的な改造になるので、コース全体のイメージに注意が行かなくなる。コースとは18ホール全体が生み出すイメージ商品で、1グリーン化したことでその全体イメージにどう影響したか?などにも設計家は目を配る必要があるはず。
そこで、佐藤氏の考える基本項目ごとの注意点を挙げて貰った。

佐藤謙太郎 基本項目の8項目について考える必要があると思います。以下、それを紹介すると、(1)グリーン=配置、形状、難易度、距離とのバランス、(2)ティ=女子、シニアに対する配置、(3)=ハザード=新設、改修の大きさ(標準は150平方メートル〜200平方メートル)、戦略性と審美性を持つ配置形状、(4)メンテナンス=日当たり、風向き、凍結度、樹木の影響度、排水方向と適正配管、(5)カート道路=プレーヤーの動線と離隔、(6)グリーン芝の選定=コース基準による選定…トーナメントを志向する高速グリーンの是非、コース内での事前試験を経て選定、管理者の技術レベルと予算による、(7)戦略性の向上=IP付近のフェアウェイ形状、池やマウンドの配置検討、(8)予算=希望改造レベルと予算との事前検討。こうした細部の部分まで考えて改造に取り組む姿勢が必要でしょう。グリーンだけの改造に熱中しているとコース全体のイメージが見え難くなるものですから。

……挙げて貰った基本項目についてコース側と折衝する訳ですが、最初にクラブ側はコース委員や理事が折衝に現れる。彼らはなるべく安い費用で最大の効果を期待する。立場に応じていろいろな意見が出る。依頼された設計家としての対応はどう考えますか? 英国で大学卒の設計家が現れる1920年代に、ハリー・コルトとヒュー・アリソンが1冊の本を出版します。「Some Essays on GolfCourse Architecture」という小冊子で、リンクスの名コースを分析・研究した内容で、「戦略性とは?」から設計家の役割について語っています。現代にも通用する戦略性について詳細に報じているのは驚きです。その中に“クラブ側と折衝する上で大切なことは窓口の担当者は1人にすべきだ”というのです。多岐に渡る意見が出ると、設計家は戸惑うからです。

佐藤 それは素晴らしい意見だ。グリーン委員、コース委員という立場によって意見が分かれるから議論が迷走しやすい。クラブ側の意見を集約した代表者1人と折衝すれば話は進行する。大切なことはテーマごとに議論すること。メンバーのプレーを優先するか、将来的に大きなトーナメントを開催したいのかという改造の要点を把握できる。
ただし、コースの難易度を下げる、易しいコースにするという要望は少ないはず。ホール毎の難易度を見定め、どんな改造を目指し、18ホール全体のリズムがどんなバランスの上に置かれるかを考えるべきでしょう。18ホールの内、2〜3ホールだけを改造するというテーマは難しいものです。全体のリズムやハーモニーを考えて、各部の改造テーマを決めるべきでしょう。
改造依頼を受けた設計家にとって大切なことは、なるべくテーマに沿って数字を出して意見を言うべきです。現在のコース・レート査定でも、グリーン、ハザード、距離を数字に換算して評価するスロープ・システムを採用しているのですから、改造によってどんな数字になるかを具体的に提示すべきです。最近は特にグリーンの難易度、ハザードの難度を数字に置き換えて査定するので、数字には説得力があるのです。

……グリーンのサイズに関して佐藤さん個人の考え方は?

佐藤 基本的にカラーを含めて600平方メートルが最低でも必要でしょう。ベント系の新芝種の普及から、管理メンテナンスは重要なテーマです。芝刈りの際にモアを方向転換するカラーには、ある程度の幅が必要です。
また、高速グリーンのニーズが高まった現在、グリーン芝の刈り高が低くなる一方ですから、管理しやすいグリーン形状、高低差にも配慮すべきでしょう。

……改造設計には原設計者がいる。元の設計に改造設計者はどんな態度でいるべきですか?

佐藤 どの時代のどの設計者に対しても、改造する者として尊敬・尊重する態度で接するべきです。大幅な改造になっても古いメンバーには郷愁やイメージが残るもの。原設計をリスペクトして、時代のニーズに合わせた改造をすべきです。

……日本の設計家で“東の井上、西の上田”と呼ばれた井上誠一・上田治時代が長くあった。その設計コースもグリーンの改修や1グリーン化で時代ニーズに合わせた改造が必要になった。井上・上田両氏の設計したコースにはどのようなイメージをお持ちですか?

佐藤 2人とも英米のコースを知り、理想的なコースのイメージがあるものの、高麗芝とベント芝の2グリーンを設計せざるを得ない時代で、それは悲劇的だった。メンテナンス技術と新芝種の発見・育成が可能になった現在は1グリーン時代になったのだから、改造はやむを得えない。でも、2人の設計したグリーン思想は尊重して、時代に合わせた改造グリーンを目指すべきです。
2人の設計は、上田氏は元水泳の選手だったせいか、広いコースというイメージ、一方の井上氏は詳細設計図まで描く学識ある職人タイプで、グリーンを砲台型にするイメージが強い。同時代の巨匠2人は後世に残る良い仕事をした人だと思います。
井上氏については一つだけ、グリーン周りのガード・バンカーの中に、時々グリーンから離れたバンカーがあって、それが私個人としては不思議で仕方ない。グリーンから7〜8ヤードも離れた場所にバンカーを置くと、グリーンを狙うショットの距離感に錯覚を招きやすい。錯覚を狙ったのは理解できるが、バンカーとグリーンの間に止まったボールは寄せやすい。バンカーというハザードは正しくエクスプロージョン・ショットをして欲しいもの。ハザードの傍に止まれば易しい寄せワンが可能になるのは理解できなかった。バンカーとはグリーンに近くなければ意味がないと思う。
また、あの時代はセカンド・ショット以降、ボールが転がってもグリーンに乗るのが常識だった。プレーヤーの技術レベルがそれを要求したのかも。

……アメリカ人設計家が日本で多くの仕事をするようになり、砲台グリーン、傾斜の強いアンジュレーションが普及して、垂直志向のショットを要求するグリーンが多くなり、転がってボールがグリーン・オンしなくなった。これは日本のコースの進歩か?

佐藤 ベント芝1グリーン時代の到来で、当然の結果でしょう。クラブ用品でもウェッジ系のクラブが進化した。ロフトの種類が多く、ボールを上げて止まりやすいクラブが開発された。コースと道具は時代につれて進化するのは当然でしょう。

……最後にコース改造には3種類あると言われる。「1.restoration=元に復元する」「2.renovation=現代のゴルフに対応する手直し」「3.re-design=設計のやり直し」です。佐藤さんの考える改造は?

佐藤 2番目のリノベイションです。時代に合わせた設計対応でしょう。

(文責・西澤忠・名誉協力会員)

 

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