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コース改造設計のオピニオン・プラザ
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2015 Aug. 協力:一季出版(株)
第26回 名四カントリークラブの巻
 

原設計/ 上田治
改造設計監修/ 林弘之

コース改造監修の様々なパターンを見続けている。そこにはそのコースなりのストーリーがあって、一概に“改造”を定義づけることは難しい。
コースごとのコンセプトの違いがある。計画の当初にどういうコースを目指すのか。チャンピオンシップコースなのか、一般ゴルファーが楽しめるコースなのか。自ずから難易度は違ってくる。
用地の問題もある。平坦でゆったりした用地か、高低差のあるコースなのかによってレイアウトも当初のコンセプトも影響を受け、設計者も決まって建設される。
原設計者の存在はその意味でも大きい。コース改造のポイントはこの原設計者の意図とある意味では戦いになるとも言える。特にその設計者がゴルフ界のレジェンドと称される“大物”であったとすれば、改造監修のディレクションは頭を悩ませるに違いない。
ただしどんなゴルフコースであってもコース改造は、これまでいくつかのコースを見てきたように避けることのできない現実でもある。オープン当初とはゴルフ環境の変化でプレースタイルが異なってきた。用具の進歩は一般ゴルファーの飛距離を伸ばした。ましてプロゴルファーともなればパー5の2打目をショートアイアンで狙える状況が起きている。
原設計者の目論見によって配されたレイアウト、ハザードが現在には適さないものになっている。
となれば距離を伸ばすためにティグラウンドを下げるか、あるいはフェアウェイバンカーを先にずらすか。用地とのバランスもあって簡単に解決できそうにない。
改造のポイントは他にもある。時間とともに劣化していくコースの補修もそう。日頃のメンテナンスで追いつけない部分が蓄積されていくと、大規模な改修作業が必要になる。当初は全く問題のなかった樹木にしても大きく育ってくれば何らかの影響が出て対策が必要になるし、昨今の天候条件の変化、夏の猛暑とゲリラ豪雨などに対処しなければならなくなる……。
コース改造の問題点をなぞってきたが、今回の名四カントリークラブの事情はどうなのか。

人気あるコースでも改造は続けていく

名四CCは昭和41年(1966年)10月の開場だから来年には50年目を迎える。
地元の積極的なゴルフ場誘致の声と、抜群の用地を得て、名手・上田治氏設計による18ホールは、着工から1年で芝張りを終了。当初の目標通り10月10日のオープンに漕ぎつけた。上田氏が「ゴルフ場となるのを待っていた用地」という恵まれた地形であったことが幸いしたと思われる。
当初は5,785ヤード、パー70でのスタートであったが、その後毎年のように改造を重ね、平成5年(1993年)には現在の6,915ヤード、パー72となっている。
この事情を改造監修の林弘之氏は「オープンを急いだことから距離が短く、少しずつ延長してきました。当初から1グリーン(コーライ)という上田さんの意図が生かされた設計でしたが、このグリーンをベント化(ペンクロス)したことを機に、その2年後に現在の距離で完成しました」と語る。
オールベント化が平成3年。現在の距離となったのが平成5年だったが、それまでコースのクオリティが低かったわけではなく日本プロゴルフシニア選手権や数多くのアマチュア大会を開催した。オープン12年目にはJGA主催の日本女子オープンを開催するなど、名四の名を全国に知らしめている。
JR及び近鉄の四日市駅から車で15分。東名阪・四日市東ICより約10分という恵まれた立地。オープン当初は考えられなかったアクセスの向上は次々と道路網が整備された結果で、コース側に先見の明があったといえる。「こうしたロケーションの良さからか名四CCの会員は“実需”が多い。いわゆるスリーピング会員が少ないのです。つい最近も新規会員募集に対して150名を超える数が集まったようです」と林氏。
丁度オープン50年を経て代替わりの時期に当たってもいるが、単に交通の便だけでなく常にコース改造を意識する真摯な運営に好感が持たれていることも見逃せない。「オープンから50年も経てくるとどうしても綻びが出てくるものです。グリーン周り、バンカー、ティグラウンド……と。日頃の整備だけでは追いつかない。加えて最近の気象状況。夏の猛暑にゲリラ豪雨。オープン当時では考えられなかった状況に対応しなければならなくなりました」と林氏。

営業しながらの作業にはキメ細かい配慮が必要

名四CCの当面の問題点はガードバンカーだった。「グリーンの表面水がダイレクトに全てのバンカーに入ってしまう形になっていたのです。雨の翌日には排水が追いつかず水が溜まったままになってしまう。まずいことにこのガードバンカーがIP地点から見えない」と林氏。例えば、フェアウェイからグリーンを狙ったボールが見えないバンカーに入った。しかも水が貯まってペナルティ……となったら、プレーヤーの気分が良かろうはずはない。 上田治という名手が、ブラインドのガードバンカーを作るのだろうかという疑問が湧いたが、「上田さんの設計ではそんなことはなかったようです。距離の延長など徐々に手を加えていく中で結果的にIP地点から見えないガードバンカーが生まれたようです」と林氏は解説してくれた。
これにはゴルフコースにありがちな“オーナー”の意向という問題がからんでいる。コースへの愛情が深く熱心なオーナーに多く見られる例だが、この場合には距離延長という大命題が故に、こうした細部が忘れられたものだろう。
いずれにしてもこのバンカーは名四CCにとって喫緊の対処が必要であった。改造ディレクターとしては、数多くのコース改造を手掛けた経験のある林氏に白羽の矢が立った。まずはグリーンの水が直接バンカーに流れ込む形状を直さなければならなかった。
「グリーンとバンカーの間が狭い所にはハロウ(hallow)を設けてバンカー内へ表面水が入らないように整備する」(林氏)
この作業は同時にIP地点からガードバンカーを確認できるようになることにもつながった。「18ホール全てで実施する方向で計画。営業しながらの工事ということもあって1工期6ホール。3期がかりでの計画です」と林氏。
2014年夏、15年3月とすでに2期12ホールが終了。この8月から最終の6ホールにとりかかる予定である。
営業しながらの工事で苦労も多いようだ。「作業員を防御ネットで守りプレー面ではローカルルール、ドロップエリアを設けるなどしました。またパッティング時には作業を中断するなどの配慮も忘れません」と林氏。こうしたキメ細かい配慮と一度に2ホールずつで作業するという方式で、幸いにしてプレーヤーには概ね好評。メンバーからも支持されている。
工事はグリーン周りの形状を変えることだけではない。
「バンカーの砂の入れ替え。名四の砂は白い珪砂で全体で1万立方メートルともなるとコストもかかるが、補充でしのいでいたものをこの際に入れ替えました。美観の上からも正解であったと思います」と林氏。
グリーンの表面水の流れを防ぐと同時にバンカーの底に暗渠升を設けて急激な雨でも吸い込むようにもしている。全ての工事が終了すれば名四CCのとりあえずの懸案事項は解決する。
こうした改造という投資がどういう効果をもたらすのか、今後を注目していきたい。

(文責・井口紳)

 

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