ホームページ
設計者協会主旨
会員名簿
コース設計家の歴史
会員設計家のコース紹介
ゴルフマネジメントへの寄稿
GCAジャーナル
お問い合せ
リンク
会員への連絡
 





気になるゴルフ
日本ゴルフサミット会議
「気になるゴルフ」

やめてくださいスポーツ課税
やめてください
スポーツ課税


JSGCA名誉協力会員
秋山 真邦 著


golmaji20

個人情報保護方針
サイトポリシー

 
 
   
一般個人会員募集 事務局からのお知らせ
フォーカスオン 現代のコース設計家
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2018 Jun. 協力:一季出版(株)
第11回 横山 良
 

取材場所は茨城ゴルフ倶楽部。4月の平日だったが好天にも恵まれて、駐車場はほぼ満パイ状態。大きなコンペが三つ。その人気ぶりを改めて痛感させられる。釈迦に説法かもしれないが、林間の36ホールは上田治設計で、数々のプロトーナメント舞台としても知られている。例年、5月にはLPGAのメジャー競技、ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップが開催されている。今年は西コースだったが、来年は東コースで。この東コースを、2011年1月から6カ月間クローズさせてワングリーンに改造したのが、今回登場する横山良氏である。
話は前後するが、インタビューが終わったところで、「天気もいいし、ちょっとコースを見ましょうか」と、横山氏は立ち上がった。勝手知ったる場所で、乗用カートに乗り東コースの10番ティに。
「正面にグリーンですが、ここはサブがあったところで、メインは左奥でした。ティからはグリーン手前左の松にちょっと隠れる感じで」
グリーンサイドにカートを進めると、メインがあったところに11番のチャンピオンティが新たにある。出だしで460ヤードは長すぎるとの思いと、プロ仕様には可能な限り距離延長を考えてのことだった。10番は20ヤードほど距離短縮となり、11番は60ヤード伸びて445ヤードになった。8番(パー4)、9番(パー5)もそうだ。8番のワングリーン左には2つのバンカーがあり、さらに左には、松を移植している。
「8番はメイン、サブが横並び状態で、コースはグリーン手前50ヤードからグリーンまで横幅が広かったので、左のグリーンを消して9番のティを新設しました」
この結果、9番はチャンピオンティから582ヤードとなった。こうしたワングリーン化に伴うティ新設は14、15、16番エリアでも行われている。14番のワングリーンをサブがあったところに置き、奥にあったメインを消して15番のティに。グリーン周辺も競技開催コースとして、ギャラリー目線を意識している。多少打ち上げにあった従来のメインでは、グリーン奥は下がっておりグリーン面をなかなか見ることができなかった。しかしサブをメインにしたことで、グリーン上の戦いを堪能することが可能になったのだ。
「やはりトーナメント開催コースとして、観戦しやすいということも念頭に置いての改造でした」

知識ゼロから設計への道へ

横山良氏は昭和23年生まれ。23歳の時に安達建設鰍ノ入社して、ゴルフコースの施工、設計、改造一筋46年である。
「こんな面白い仕事ができて、本当にありがたいことです。会社あってのことですし、感謝しきれません」
こう話す横山氏。ゴルフ場も知らない、ゴルフもしたことはない、建築や設計の知識ゼロでの入社だったと聞いて驚いた。
「入社して測量の何たるかをレクチャーされて、コースレイアウトの考え方やコース造成に必要なことを教え込まれました。そして、山の縦断とってこい、横断とってこいと。戸惑うというよりも、すべてが新鮮で面白かったですね。だから、どんどんと吸収していったのでしょうね」
と、当時を思い出して笑顔で語る。この横山青年の上司が、当時コース設計者として第一線で活躍していた鈴木正一氏である。
安達建設は1885年(明治18年)創業と古く、今年で133年の歴史を誇る。戦前からゴルフ場造成に関わり、戦後は自社コースを含めて設計、施工している、いわば日本のゴルフ場とともに歩んできた企業だともいえるだろう。この間、丸毛信勝、井上誠一、上田治、佐藤儀一といった錚々たる顔ぶれが社史を飾る。そして、先達の考えは鈴木正一氏に継承されていた。もちろん横山氏にも。師匠・鈴木氏の訓えとは一体何だったのか。

「バランス」と「管理のしやすさ」を念頭に

「バランス、そして奇をてらわない。周囲の景観とのバランスもありますが、名物ホールを意図して作ることはバランスを欠きます。結果として、そうなるのは良いとしても。強弱や大小はもちろんありますが、違和感があってはいけないと。バンカーだらけや必要のないところにハザードを造るといった奇をてらわないこと。これは、上田治の訓えでもあったのではないでしょうか」
そして、もう一つの訓えはコース運営会社ならではのもの。
「メンテナンスのしやすいデザインにすることです。モアが入れる、グリーン周辺でモアがターンできる、モアが齧らないグリーン面とかですね。こうしたことは、結局はプレーヤーに良いターフを提供することにも繋がるはずです」
鈴木氏は晩年、「もっと自分の個性を出していいんだよ」との言葉を横山氏にかけている。この言葉からも師弟関係の濃度が読み取れる。

原設計と思わせる改造を

冒頭の茨城ゴルフ倶楽部・東コースの改造にあたって、横山氏はグリーンの大きさを18ホール500平方メートル前後に統一し、勾配は2%以内に抑えている。
「改造前に測量したらメインもサブも400平方メートル程で、メインでの営業が10カ月間。それなら、ワングリーンだからといって700平方メートルにしなくてもいいでしょう。用地は十分にありましたが、あえて500平方メートルにしたのです。グリーンの大きさは違わないほうが管理しやすいはず。肥料にしても消毒にしても同じ量で済むでしょう。そして、グリーンスピード12ft以上に耐えるには、2%以下でなければ使えません」
これまで横山氏が手掛けた大規模コース改造は18カ所。1983年の札樽ゴルフ倶楽部(北海道)の12 ホール改造が手始めだった。降雪クローズも長く、営業期間(5〜10月)中にホールデザインは勿論だが、レイアウトの変更にも挑んでいる。
「不評だった2ホールを潰して、新たなデザインにすることでした。3年かけてやりましたが、楽しく面白かったですね」
インタビュー取材の間に、何度も「楽しい」「面白い」が横山氏の口から笑顔とともに出る。改造の仕事としては、直近の2013年の府中カントリー倶楽部(東京)以降はない。改造のスペシャリストともいえる横山氏にとって、改造ポリシーとは何なのか。
「出来上がった時に、『あ、改造したんだ』と思われない造りにしたい。元々こうだったんだ、という感じ方にしたいのです。ツーグリーンをワングリーンにすると余白ができますが、これを余白と思わせないこと。『え、ツーグリーンだったの』という景色になっていれば成功でしょう。結構難しいことなのですが」
白紙の状態で絵を描く新設とは違い制約も多いはずだが、「改造には改造の面白さがある」と、横山氏。改造ばかりでなく、新設も1985年の自社コースで、自然の樹木や地形のアンジュレーションを残しながら高低差20mというフラットなレイアウトに仕上げられた丘陵コースの美奈木ゴルフ倶楽部(兵庫)から、90年キングスロードゴルフクラブ(同)、93年タイガースゴルフクラブ(現・東条パインバレーゴルフクラブ、同)、95年朝宮ゴルフコース(滋賀)と4コースを手掛け、いずれも評価は高い。
「新設にしろ、改造にしろ、合理性と管理のしやすさがベースにあります。何より、眺めて見る芸術品を造っているわけではありません。ちょっと気の利いた工芸品というか、使い勝手の良い実用品を造っているのです」
最後に横山良氏は、こう締めくくった。

 

掲載順不同
クリックすると各コースの情報ページが表示されます。
詳細は各コースにお尋ねください。