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日本と欧米の「ゴルフ文化」の違いを再検証する


去る10月1日、東京の国際文化会館において、日本ゴルフコース設計者協会の10周年を記念したパネルディスカッションが行われた。「日本と欧米のゴルフの違い」を主なテーマとし、延べ2時間に渡るディスカッションを展開。ゴルフコースの設計に関する話題はもちろん、ゴルフトーナメント界に関係する話題も出たので、その概要を掲載させて頂く。

今回行われたパネルディスカッションは、日本ゴルフコース設計者協会の10周年を記念して企画されたもの。会場には、10周年を飾るに相応しい豪華パネラー陣が集合した。

司会・進行役は大西久光氏(日本ゴルフコース設計者協会理事長)、パネラーは戸張捷氏(JGA広報委員長)、川田太三氏(JGAオープン実行委員長)、加藤俊輔氏(日本ゴルフコース設計者協会初代理事長)、金田武明氏(日本ゴルフコース設計者協会第二代理事長)。
各分野を代表する第一人者が、決められたテーマに沿ってディスカッションを繰り広げ会場は大いに盛り上がった。


以下、ディスカッションの内容をテーマ毎に分けて紹介する。

■ゴルフコースにおける日本と欧米の見識の違い

大西久光(以下大西) まず、最初はゴルフコースのデザインの問題をとりあげたいと思います。一般のゴルファーがゴルフをする場合、大抵の人はコースの設計者が誰なのか分からないままプレーしていることが多いようですが、その点について、金田さんはどうお考えですか?

金田武明(以下金田) そのゴルフ場が何を訴え、何をゴルファーに期待しているかを読みとってもらいたいですね。ゴルフ場の設計者が誰なのかを知らずにプレーすることは、著者を知らずに小説を読むようなもの。設計者はいかにしてゴルファーに錯覚をおこさせるかを色々と考えておりますので、コースの表面だけにとらわれないでもらいたいですよね。設計者が意図するものを自分で判断しながら歩いていただきたいです。

加藤俊輔(以下加藤) ゴルフ場の設計において「自然をそのまま利用した」という表現がよく使われますが、自然をそのまま利用するだけでは設計とは言えません。確かに自然のいいところは利用しますが、それ以外に人間の手によって自然に変化を与え、より面白く、内容あるものを作ることが大切です。 昨年、太平洋クラブ御殿場コースで
EMCワールドカップが開催されましたが、大会前には「とんでもないロースコアが出るのではないか」と言われていました。 ところが、一昨年にアルゼンチンで開催されたEMCワールドカップよりも、優勝スコアはだいぶ抑えられました。その理由はグリーンです。いいグリーンを造り、いい管理をして、いいポジションにピンを切るという、人の作業が良いコースを造りました。

川田太三(以下川田) 一時期、日本は数字ばかりが強調され、ゴルフコースの設計者は意識されなかったように思います。「いくつで回ったか」が重要視された、いわゆるバブル志向の時代は終わったのですから、プレーする人それぞれが、そのコースを判断していいのではないでしょうか。判断基準は人それぞれで構わないので、 どんどん
評価していってもらいたいですね。その興味をもっと掘り下げていって「誰がこのコースを造ったか」というところまでたどり着ければ、ゴルフはもっと面白くなると思います。

戸張捷(以下戸張) 私も3人の意見とほとんど同じですね。コースが変わればコースの表情は変わりますが、同じコースでもピンの位置やティの位置によって表情や攻め方は変わります。ゴルファーの皆様にはそれぞれの技量に応じて、それぞれの楽しみ方をしてもらいたいですね。

大西 続いて日本に根強く残っているツーグリーンについての見解をお聞きしたいと思います。参考までに、なぜツーグリーンがいけないのかを、改めて聞いてみたいと思います。加藤さん、ご説明いただけますか?

加藤 ツーグリーンをサッカーに例えると、ゴールネットが2つ並んで立っているようなものです。スポーツとは国際ルールにのっとって競われるべきであり、そういう意味ではツーグリーンは論外といっても過言ではないでしょう。不幸にも日本は、冬と夏で二つのグリーンを使い分けなければならない時代がありました。しかし、それは昔の話です。現在ではオールシーズンを通じて十分耐えうるワングリーンを造ることができます。「ワングリーンでは芝がもたない」という人もいますが、それは勉強不足としか言いようがありません。ツーグリーンに引っ張られている日本のゴルフ場は、非常に情けない。設計者の中には、ツーグリーンが良いという人は一人もいませんし、すみやかにワングリーン化へ向かうべきだと思います。

金田 1932年、日本は大変な酷暑を迎え、暑さに弱い洋芝にとって最悪の年となりました。運が悪いことに、東京ゴルフ倶楽部、広野ゴルフ倶楽部、霞ヶ関カンツリー倶楽部ではこの年に洋芝を取り入れ、全滅してしまいました。そこで考案されたのがツーグリーンです。皮肉にも、ツーグリーンを造ったのは、名設計家として知られる井上誠一氏でした。一方のアメリカは芝草の研究を重ね、ワングリーンにこだわってきました。つまり、アメリカは「蚊を殺すにはボウフラを殺さなくてはならない」という考えから、グリーンの構造そのものを変えました。ところが日本では「蚊をよけるのには蚊帳を吊ればいい」という発想から、二つのグリーンを造ってしまいました。そのうちに「この蚊帳をもっと立派にしよう」となり、どんどん立派なツーグリーンができてしまった、というわけです。

大西 欧米と日本ではグリーンも違いますが、バンカーの難易度も随分違いますよね。ゴルフの本場英国のバンカーと、日本のバンカーを比較して、川田さんや戸張さんはどう思われますか?

川田 日本のバンカーを考え直さなくてはならないレベルになったのは、ゴルフ場が乱立されはじめてからでしょうね。戦前のバンカーは、本場スコットランドのバンカーを意識した造りになっていると思います。ところがカナダカップ以降、ゴルフが急激に普及し、ゴルフ産業が確立され始めると、急激に増えるゴルフ場に、造り手の数が追いつかなくなってきました。つまりゴルフ場をたくさん造ろうとするあまり、かなり妥協した物が多く生まれてしまったのではないかと思います。また、バブル期に突入すると、難しいコースよりも、やさしくていいスコアで回れるコースが「いいゴルフ場」というレッテルを貼られるようになりました。現在もまだその名残があるように思います。

戸張 バンカーをハザードと考えるかアクセサリーと考えるかの差でしょうね。設計者が理念を持って置くバンカーが存在する一方、「遊べる、楽しい、いいスコアでまわれる」というコースに仕上げるために置くバンカーもあります。

金田 霞ヶ関CCの10番ホールのバンカーは世界的にも有名ですが、1931年当時は赤ちゃんのバスタブのようなものでした。それを見たチャールズ・アリソンが「このバンカーはもっと深くしなくてはいけない」と言ったことで、現在の形になりました。バンカーが改良された当時はまだサンドウェッジも普及してなかった時代ですから、そのバンカーから脱出できたメンバーはほとんどいなかったのではないでしょうか。にも関わらずバンカーの改良を受け入れた霞ヶ関CCの決断を見ると、昔の人の方がよく勉強していたと思います。

■日本のゴルフ文化に根付くローカルルールの是非

大西 日本には「プレイングフォー」という有名なローカルルールがあります。このルールも、欧米と大きく違う点ですが、川田さんはどのようにお考えですか?

川田 日本のゴルファーには、予備球を打つことをおすすめします。日本人はまじめですからスコアが出ないと満足できない人が多いんですよね。スコアがなきゃいけないゴルフと、スコアがなくてもいい遊びのゴルフがあると思います。打った地点まで戻るのが面倒くさいから「どんどん行っちゃおうよ」ということでできたのがプレイングフォー。予備球をどんどん使って、戻らなくていいような形にすればいいと思います。

加藤 設計者の立場でこの問題を考えると、普通の能力を持った人達がきちんと打てば、問題なくプレーを進行できるようなところにティをセッティングすべきだと思います。いたずらに過酷なセッティングを施しても、ゴルファーは悲しい思いをします。150ヤード以上のキャリーボールを打たなければ、コースに球を出せないようなコースは、レディスゴルファーを考慮してレディスデーを設けて、違うティから始められるようにしているところもあるようです。設計者の独断で厳しすぎるセッティングを施すことは、一般ゴルファーの楽しみを奪ってしまうことにもつながりますので、設計家は注意すべきではないかと思います。

金田 ゴルファーは、なるべく自分の技量に応じたティでプレーすることが大切です。フルバックティでプレーすることが本物」という誤解を抱いている人もいますが、それは間違いと言えるでしょう。一方で設計者も、ゴルファーの「逃げ道」を作ってあげることが必要です。例えばパー3のホールで、ある程度の距離を打たないとどうしても越えられない谷があったとします。その場合、いくつかのティを設けて、ゴルファーに逃げ道を作ってあげることも必要ですね。

大西 欧米と日本ではプレースタイルも随分異なる点があります。代表的なものが18ホールスループレー。日本では9ホール終了時点で昼食を食べなくてはいけないケースがほとんどで、余分な時間がかかってしまいます。戸張さんはこの問題についてどうお考えですか?

戸張 ゴルフ場を実際に経営する側の理論と、プレーする側の理論で意見が異なると思います。個人的には、18ホールスループレーがゴルフ本来の姿だと思います。私がゴルフを始めた昭和30年代の半ばから40年代の半ばくらいまでは、18ホールスループレーは当たり前のように行われていました。それ以降に新しいプレースタイルがどんどん出てきて、現状に至っています。

川田 実は途中でプレーを中断することを前提にスタートすると、ルール違反になります。お恥ずかしいことにJGA主催のジュニア競技でも、ジュニアの健康管理のためにハーフ終了時点で時間を置いていた時代がありました。その件に関してはもう随分前に見直され、現在は1番ホールからスタートさせることを徹底しています。以前、R&Aからも「9ホール終了時点でプレーを中断することはルール違反だ」というような内容の通達が出ましたが、これは日本にだけ向けて出したものではないだろうかと思いました。

加藤 ゴルフコースを小説に例えると、10番ホールからスタートすることは、最後の部分を先に読んでから頭を読むようなものですからね。世界の歴史的なコースは、9番ホールと10番ホールが奥の方にありますよ。それを考えると、日本は非常に変なルールの中でゴルフをやっている。プレーの途中で昼食を取ることが、食堂の売り上げになるという発想もあるでしょう。しかし、お客さんの立場に立って物事を考えた場合、当然のことながらワンウェイというのは重要な要素となるでしょう。

大西 ノータッチプレーについてはどうですか? これも日本では徹底されていないケースがほとんどですが。

金田 各ゴルフ場の委員会が先頭に立って指導していくべきだと思いますね。メンバーシップのゴルフ場を主体にした話になってくると思います。

加藤 私は基本的に、アンプレヤブルか否かとしか考えていません。単純にアンプレヤブルか否かで物事を考えれば、もう少しゴルフのルールも分かりやすくなるとは思いますが。

川田 日本のゴルフ文化である「いいスコアを出してもらいたい」という考えから「いいところにボールを置いていいですよ」という流れになってしまったのではないかと思います。顕著な例ではウインタールールがあります。もともと欧米から入ってきたルールで、ベストシーズンじゃない時にはボールを動かしてもいいとするものです。ところが日本と欧米では大きな違いがあります。イギリスやアメリカは「ドライサマー、ウェットウィンター」なんですよ。欧米は冬の間じめじめして、芝の状態が悪いのでボールを動かしていい、という理屈ですが、日本は気候が違いますよね。欧米と逆です。冬の間は非常に乾燥していて、ボールを打つにはいい条件が整っています。にも関わらずウィンタールールを採用してしまってるあたり、日本のゴルフ文化が表れています。

大西 男子のトーナメントでフェウェイの状態が悪いとき、ボールを拾い上げて拭く姿がよく見られますが、戸張さんはどう思われますか。

戸張 プレーする人間がどういう哲学に基づいてゴルフをするかで、ルールの問題は変わると思います。きちっとプレーしたいゴルファーは、ルールの勉強をして、それに基づいたゴルフをすればいいと思います。あるいはゴルフを「ゲーム」として捉え、楽しむ目的でプレーしている人は、ルールの原則を守りつつ、それなりの楽しみ方をしていいのではないでしょうか。ここで問題になるのがルールブックです。日本には現在1000万人のゴルファーがいると言われています。4年に1度ルールの大きな改訂が行われますが、その時でさえ新しいルールブックは25万部程度しか発行されません。改訂が行われない年は、5〜7万部でしょう。つまり、現在の体制ではルールの原則が一般のゴルファーに届きにくいというのが現状です。ですからゴルファーは、もっとルールに関心を持ち、ルールブックを持つように心掛けることが大切だと思います。

大西 日本のコンペティションは、圧倒的にダブルペリアで行われる場合が多いですよね。しかし、ダブルペリア以外にも様々な競技方式があり、ゴルフをもっと広く楽しむのであれば、ダブルペリア以外のルールを活用すべきだと思うのですが。

金田 ゲームの種類は少なくとも100種類ほどあります。そのいくつかをクラブが提供すべきではないでしょうか。そういう意味ではクラブの責任というものは非常に大きいですよね。現在のところストロークプレーが主流ですが、実際のところみんなストロークプレーが好きでやってるかは分かりません。単に他の遊び方を知らないだけかもしれません。例えばイギリスの場合、2ボール4サムが主流です。自分のスコアが出ることを喜ぶ人もいますが、恥ずかしがる人もいるということを忘れてはいけません。

大西 競技方法によって、ゴルフコースの設計も変わってくると思います。設計家の立場としてのご意見を、加藤さんにお伺いしたいのですが?

加藤 タフな設計にしたい、と思っている時はストロークプレーのことが頭をよぎりますね。ホールごとに決着をつけてくようなやり方だと、我々デザインする側も確かに思い切ったことができます。

大西 日本では、ホールバイホールでゲームをやると言うと、マッチプレーだと思って敬遠する人が多いですよね。

戸張 やはり各クラブの競技委員会が、どれだけゲームの種類をゴルファーに提案できるかだと思います。それを率先して行わなければならないゴルフ場がいくつかありますが、すでにそれらのゴルフ場は動きだしています。

大西 競技方法のいくつかをゴルファーに提案しても、プレーするゴルファーがオフィシャルハンディキャップ持っていないことには、競技ができないですよね。JGAはもっと多くのゴルファーにハンディキャップを取得してもらうような運動をする必要があるのではないでしょうか?

川田 その件に関して、取り組みを行っています。個人会員の勧誘や県連盟を通じてメンバーを増やす施策をどんどん行っています。コースを持っていない人でも、3〜5人で登録して頂ければハンディキャップを発行できます。コースを持たないゴルフクラブは世界にたくさんありますからね。R&Aもそうです。ですからホームコースを持っていない人も積極的に団体で申し込んだり、個人で申し込んだりして頂きたいですね。

大西 確かにJGAでは様々な努力をしていますが、実際のところハンディキャップを取得する人はあまり増えていないようにも見えます。その理由の一つとして考えられるのは1年に10枚のスコアカードを提出しなくてはならないことではないでしょうか。一般ゴルファーの年間平均ラウンド数は9回くらいですから、10枚のカードを出せる人はごく少数に限られてしまうと思うのですが。

金田 日本はスコアカードに頼りすぎていますよね。実は現在日本で採用されている、USGA方式を持ち込んだのは私なんですが……。英国の場合は、仲間同士が互いの実力をよく知っているので、スコアカードだけではなく、人間の判断に頼ってハンディキャップを決めている部分があります。

川田 イギリスはコースレートが71か72か73しかないんですよ。イギリスの場合、「いいときにはこれくらいのスコアで回る」というのがハンディキャップ。日本の場合は、シングルになった時にお祝いの会を開いたりするようなレベルですから。その事実を見ても「ハンディキャップ」に対する考え方が、欧米と日本では違うことが分かります。アメリカの場合、ハンディキャップは完全に使い捨てで、遊ぶための単なる道具としか見られてません。

■セルフプレーの功罪

大西 最近は随分セルフプレーが増えてきました。セルフプレーの増加とともに守らなくてはいけないのがマナーやエチケットです。セルフプレーをするゴルファーに向けて何かメッセージはありますか?

戸張 短く言ってしまえば、社会道徳と一緒で、人に迷惑をかけないということ。それを心がければ自ずとやることが分かるはずです。ルールブックの一番最初のページを読んでもらえると、ゴルフの一番基本的な理念が書いてありますので、まだ読んでいないゴルファーの皆様には、ぜひ読んでいただきたいと思います。

金田 セルフプレーに関連して、私はプレーの費用について触れさせていただきます。日本の名門コースは、総収入の70%〜80%をビジターで賄っています。メンバーが負担しているのが20%〜30%しかない。ところがアメリカはビジターからの収入は25%が上限なんです。このラインを超えてしまうと、メンバーは色々なことを失うわけです。固定資産税、アルコール税などが全部上がります。ですからビジターからの収入が25%以上にならないように、一生懸命メンバーは努力します。しかも、1947年までは、この上限が5%だった。この時にアメリカのゴルフ界は大変な合理化をしました。一方で、日本には合理化する機会がありませんでした。日本の次のステップとして、今後はNPOの存在が重要になってくると思います。みんなが楽しむ場としてゴルフ場を作り、「変な税金かけるな」と言えるような体制作りも必要になってくると思います。

大西 金田さんから税金の問題が出ましたが、ゴルフ界にはゴルフ場利用税があり、なかなか廃止にはいたりません。税金問題について一言触れて頂きたいのですが。

金田 ゴルフ税は野村駿吉さんの提唱で始まりました。一番最初は100円でした。ハヤシライスやカレーライスが100円だった時代です。当時私は「ハヤシライスを食べられない方もいるんですから100円はきついですよ」と野村さんに言ったのですが、大声でどなられました。「ゴルファーがケチなこと言うな」と。野村さんは海外生活が長かったので、地方自治の重要性を良く知っていました。そのための財源をゴルファーが負担しようということで、ゴルフ税が始まったのですが……。こういうものは役所にいきますとどんどんかってに成長していきます。それで現在に至っています。雨が降ってきたので軒下をかしたら、いつの間にか居間に居座っていたという感じですね。

加藤 ゴルフだけが過酷な条件をつけられていますよね。現在のようにゴルフを大衆化しようとしている時に、現在のような形で課税させられるのは、ゴルフが違う目で見られている顕著な例です。まず項目撤廃をしてもらい、それから先、どういう負担をゴルフ界ができるかを考えられると思います。そこで初めて大衆のスポーツとして認められるのではないかと思います。

川田 日本のゴルフ界の歴史を見てみますと、やはりゴルフ界全体が贅沢な方向に行ってしまったんですよね。本来進むべき道と、現在たどってしまっている道の「距離感」みたいなものを知るべきではないでしょうか。ゴルフ税の反対にしても、ただ反対するのではなく、利用税を廃止した後に、ゴルフ界がが社会に貢献できることを模索する必要があるかもしれませんね。そのための勉強もしなくてはならないと思います。

戸張 ゴルフ場利用税の元々のコンセプトは「娯楽施設利用税」というものです。130カ国以上にゴルフが普及し、オリンピックの正式種目として採用されるかもしれないという時代に、ゴルフ場利用税という名目で課税させられるのはおかしいと思いますね。やはりゴルフ界と地方自治体の結びつきの在り方から見直すべきでしょう。

大西 私のホームページにはプロゴルファーのマナーについて、多くの意見が寄せられます。プロゴルフトーナメントで、プロゴルファーに避けてもらいたいことがあればお聞かせ下さい。

戸張 煙草の問題に関しては、欧米の選手は日本の選手よりもスマートですよね。欧米の選手も煙草は吸いますが、テレビに映る場面では吸いません。つまり自分のイメージ作りを、しっかりと自分でコントロールしている。JGTO的には、自粛してもらような動きをしたほうがいいと思います。あとはファンサービスを積極的に心がけたり、服装に気を付けて、好感度アップを意識していただきたいですね。ゴルフがテレビにおけるキラーコンテンツになれば、テレビを通じてゴルフが普及しますし、いいゴルファーが増えると思います。プロゴルファーはそういう役目も担っていると思いますので、それらをきちんと自覚して頂ければと思います。

川田 日本は、ゴルフ場が神聖な場所だという感覚がありますよね。アメリカには、帽子を脱いでゴルフ場に一礼して帰るゴルファーはいません。数年前の日本シニアオープンで、ティに上がる前に帽子を脱いで深々とお辞儀をした選手がいました。その選手は一時期ガンに侵され、長い闘病生活を経てのカムバックだったので、私はとても感動しました。一方で、とあるジュニアの競技で、選手がティに立った時、4方向に向かってお辞儀をしました。多分監督に教えられたのでしょうが、形式だけのお辞儀のように見えました。大切なのは「何をするか」ではなく「いかにするか」だと思います。煙草を吸うにしても、煙草そのものが悪いのではなく、「いかに吸うか」が大切でしょう。

加藤 自分のプレーを棚にあげて、コースにケチをつける愚かなプロゴルファーがいます。自分のショットがうまくいけばいいコースで、うまくいかないと悪いコースだと言います。コース批判というのは恥ずかしいこと。欧米の選手は批判したくなるくらい腹が立つコースでも、言葉をのみこみます。プロとしての見識が今の日本のプロには欠けているような気がします。

金田 3人がおっしゃったようなことは、昔はありませんでした。今の選手には、歩き方からしゃべり方まで、全部教えないと分からないと思います。選手のしつけがうまいのは相撲界だと思います。各部屋の親方や兄弟子が、しっかりと若手を教育してますよね。ゴルフも同じように、何も知らない若手を教育する必要があります。テレビに映っている時に煙草を吸う行為は、時代遅れ。あまりにもグローバルスタンダードからかけ離れていると思います。

大西 みなさん、今日はどうもありがとうございました。

社団法人 日本ゴルフトーナメント振興協会 会報 「トーナメントナウ No.119」
(2002年10月1日発行)より、同協会のご厚意により転載。


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