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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2010 Mar. 協力:一季出版(株)
「時代に合せて原曲から編曲へ」第三部
日本ゴルフコース設計者協会
副理事長 海津 康志
 

コース改造は音楽でいえば有名な曲を編曲するのと同じだ。古い曲を時代に合わせてアレンジすることで、一層その曲への親しみを高めるのが編曲の目的である。

私のコース改造設計第三部

2009年1月から7月まで、千葉県の中心部から南東約40・にある房総カントリークラブ大上ゴルフ場の改造工事を行った。1986年(昭和61年)開場で約24年の歴史を持つ、雄大な自然の中造られたゴルフ場である。
原設計は富沢廣親氏。富澤氏が父・富澤誠造氏と共同設計された茨城県の富士カントリー笠間コースで、私は総合建設会社の社員としてコース造成工事を担当した。

第1章節 改造計画

今回の大上ゴルフ場は近接する房総CC房総G場の系列コースで、18ホール、6,787ヤード、パー72と、コース全長はあまり長くはない。1987年に取得したコースレートは71.7だったが、これまでいろいろ改造を行ってきたため、2008年に再査定したところ新たに72.2のコースレートを得た。グリーンはペンクロスベントとコウライの2グリーン。コウライグリーンの使用は休止状態でベントグリーンのみ使用していた。
改造にあたりオーナーから出された指示は以下の通りである。
(1)問題ホール・箇所を解消し、評判の良いコースにしたい。
(2)ホールの戦略性が確認できること。ティからはサイドバンカー、美観池など、IP付近ではガードバンカーがきちんと確認できる。またグリーン面の見えないホールはグリーンの形状が分かるようにする。
(3)お客様に対して、印象に残るホールを作る。
(4)お客様が多く入るようにして集客を上げたい。

第2章節 改造設計方針

今回の改造目的は現状のベント、コウライの2グリーンをベント1グリーンに転換することである。原設計でベントグリーンは平均面積が600平米以上あるため拡張する必要はなく、しかもベント主体でコウライはサブグリーンとして設計されている、サブグリーンを撤去し跡地を造形、植栽で整備することで大半のホールをワングリーン化できた。
改造条件の一つ、問題ホール・個所の解消。10番ホール422ヤード(打ち下ろし17m・パー4)はIP地点右側に調整池、手前に防球ネットがあるため非常につまらないホールで、OBになりやすいホールだった。改造で17mの高低差を2〜3m解消しても、膨大な土工事になるだけで効果はあまりない。そこでティグラウンドを20m後方に下げ、IP地点を10m以上拡幅し、受けるガードバンカーで抑える方法を取った。またグリーンは7m打ち上げで、グリーン面が見えない。グリーンが見えないホールは海外にもよくあるが、日本のゴルファーの大半はグリーン方向が確認出来ないと不安だと思っている人が多いので、このホールでもグリーンの手前が見えるよう改造した。

第3章節 印象に残るホール作り

名物ホールという見せ場を造る。8番は387ヤード・パー4で平坦なホールだが、ティ前の幅が狭くOBになりやすい少しトリッキーなホールだ。ただIP地点の右側に美観池があり、美しいホールの一つでもある。グリーンは平坦で一般的だが、オーナーから特徴のあるホールにしたいとの希望が出された。そこでティ前の幅の狭い箇所はジャカゴを階段上に積み上げ、ホール幅を10m以上拡幅した。グリーンを3mあげたいとの意向については、営業しながらの大量の盛土工事は大変な作業で、プレーヤーの安全確保にも問題があるため、まずカート道路の安全と土工事運搬車の搬入路を確保した。ベントの1グリーン化は、サブグリーンをベント化して対応した。グリーンを3m上げる試みは、施工時は少し違和感を感じたが、完成するとこれまでにないもう一つの顔ができ、印象に残る名物ホールになると思う。

第4章節 1グリーン化

当コースはベントがメイングリーンであり、サブのコウライを撤去後周囲のバンカー等を新たに造形し、樹木でカバーした。グリーン周辺を細部測量して現況を把握し、現状残せるバンカーは残したが、戦略的1グリーンに、また美しく絞ったホールに見えるよう造るのに苦戦した。

第5章節 コースのバランス

コース改造においてコース全体のバランスをとることも大きな課題の一つである。改造に力が入りすぎて、あまり難しいホールばかり出来てはバランスに欠ける。18ホールの中を楽しく苦戦して回れる魅力あるコース造りが改造の目標である。

第6章節 距離

コース改造では距離の延長もテーマの一つだ。クラブとボールの進化でより遠くへ飛ばす痛快感が求められているが、今回の改造では用地の制約や予算から距離の延長はほとんど行わなかった。当クラブは房総・大上合わせて54ホールあるため、距離については7,107ヤードの房総東コースがあるので、大上では味のあるコース造りをテーマとした。

第7章節 運営・営業

お客が多く入るようにして集客を上げたい。房総CC大上ゴルフ場の年間入場者数は県下の中で指折りの実績がある。18ホールで年間平均4万5千人と優秀で、今回この改造でも入場者はほとんど減少しなかったという。改造中はお客様に多大なご迷惑をお掛けしたが、印象に残るコース、また挑戦したくなるコースを造るための時間と考えて欲しい。
1日200名の入場者を受け入れるのは、さほど難しいことではない。しかし1日平均となるとかなり厳しい。土・日・休日はまだしも平日や厳冬・猛暑時期などにどう万遍なくお客様来ていただくか。年間4万5千人を365日で割ると1日平均123人。ゴルフ場として余裕がある。そこで集客のためにコースを易しく改造したらどうなるかというと、当初は歓迎され来場者は増えるかも知れないが、すぐに飽きられお客離れが始まるだろう。何回プレーしても飽きない、挑戦意欲の湧くコース造りを目標にしている。

第8章節 コース改善

最近、プレー代を安くするため、乗用カートでノンキャディのコースが増えている。コースが傷む原因の一つだ。今回表紙の千葉夷隅GCのメンバーは各自目土袋を持ち、ショットの後に目土を行っている。私も最近は自分でするよう心掛けているが、目土はあとから来るプレーヤーのためでもあり、明日の自分のゴルフのためでもある。すべてのプレーヤーが1ホール2〜3箇所の目土をすればコースは良くなり、明日の自分の好プレーにつながる。グリーン上のボールマーク補修も同様で、プレーヤー全員に心がけて欲しいことである。

第9章節 まとめ

コース改造は設計家が満足しても、お客様が満足しなければ何の意味もない。コースの難度が上がりお客様のスコアが悪くなっても、自然と対話し未来に残る調和のとれた芸術性豊かなコースに仕上げ、そして何回でも回って見たいと思えるコース造りを目標にしている。コース改造の魔術師と言われるよう、またなれるよう努力したい。

 

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