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コース改造設計のオピニオン・プラザ
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2013 Aug. 協力:一季出版(株)
第2回茨木カンツリー倶楽部・西コースの巻
 

原設計/ 井上誠一
改造設計/ リース・ジョーンズ

大正14年開場の東コースはダビッド・フード設計をC.H.アリソンが改造アドバイスをし、11年前には服部彰の設計で高麗芝2グリーンからベント芝1グリーンに改造された。そして、西コースは井上誠一の2グリーン時代が長く、その間に1968年日本アマ、73、96年の日本オープン(この試合前に部分修正を加えた)、08年アジアパシフィック・パナソニック・オープンなどを開催して来た経緯がある。
そして11年(平成23年)、新たに1グリーン化を目指して米国人設計家、リース・ジョーンズ(1941〜)に改造設計を依頼し、239日間の工事の末に完成した。グリーンのみならずコース全域の排水・散水工事を含めた大工事のため、13億円余りの巨費を注ぎ込んだ一大プロジェクトだった。因みに、リースの設計料は1.25億円。
このリノベーターの選定には久我一郎・茨木CC理事長、大橋一元・関西ゴルフ連盟常務理事があたった。日本を代表する名門クラブにとっては大英断だったはず。
父親ジョーンズ・シニアと同様“オープン・ドクター”(USGA主催競技コースの改造を得意とする設計家)と呼ばれるリースの手腕はどんな評価を得たか? その詳細はどうだったのだろうか?

Q1. 西コース18ホールの改造後の新グリーンの印象について

現地を訪れたリース・ジョーンズは「西コースの地形、井上誠一のルーティングが素晴らしい」と絶賛、「21世紀を見据えた距離、難易度を加えた、モダンだがクラシックなデザインを考えた」と説明した。
新グリーンについては、2グリーンから1グリーンへの移行を踏まえ、「18ホールに変化をつけ、大きなアンジュレーションを採用した。これは英国のリンクス・タイプのグリーンで、古い歴史ある茨木CCにふさわしいと判断した」と説明した。

<佐藤謙太郎・副理事長>
大きなトーナメントを意識した7407ヤードという距離は国内では稀有。ただし、一般アマチュアにはそうとう長く、ティの選択によって面白さ、楽しさを引き出す必要あり。総論的には、リノベーション(renovation)というよりリ・デザイン(re-design)に近い進化だと思った。

<林弘之・理事>
以前の井上誠一の2グリーンを1グリーンにしたのは画期的な判断で、良くなったのは事実だが、リース自身のグリーンになったと思う。

<八和田徳文・正会員>
平均600平米というグリーンの大きさはホールによっては大きく感じるものもあったが、距離によってグリーンに大小の変化をつけるのは日本では無理なのか?

Q2. バンカリングについて、どう思ったか?

リースの当初の考えでは出来上がったバンカーより「3倍の大きさを考えていたが、東コースのアリソン・バンカーを含めたクラシックなデザインを見て、考えを変えた」という。東西36ホールのバランスを考慮した結果だった。
また、107個あったバンカー数が60個に減ったのは2グリーンの1グリーン化であるから当然の結果だが、グリーン周りのマウンドやハロー(窪地)の組み合わせで巧妙な起伏がハザードの役割を果たす造形が施された。

<佐藤謙太郎>
クラブ会報にリース自身のマスター・プラン設計図があるが、バンカーは増えて、変更箇所が7箇所ほどある。特に7番ホール(パー5)の斜めに置かれた3個のクロス・バンカーなど、プレーヤーの飛距離によって、またティの選択で戦略性が大きく変わる設定だ。個人的にはマスター・プラン通りのコースも見てみたかった。

<中嶋隆雄・協力会員>
7番は一味違った印象で、彼の言う“ターゲット・バンカー”(目標になる障害)の意味合いに納得した。2オン狙いには越せ! 3オン狙いなら刻め! という戦略性の明確な指示だと思った。

<八和田徳文>
落下地点への打ち下ろし角度からいって、折角豪快なドライブを楽しめるホールで、わざわざ考えさせるのは逆転の発想だと思った。

<川田太三・理事長>
7番のクロス・バンカーはリースの一つの問題提起だ。日本の伝統的なコースにはない米国式バンカーの在り方を示したのだから。

Q3. 池のハザードとグリーンの関係については?

9番と18番グリーンの間にあった池は過去のトーナメントでも多くのドラマを生んで来た。リースはさらにパー3ホールで3箇所、8番などウォーター・ハザードの意味を強調した。中でも14番のパー3ホールの造形は会心の出来だったようで、クラブ側もその造形に感銘して、”ジョーンズ・ホール”の愛称を付けたほどだった。

<林弘之>
一般的に米国人設計家の考えるグリーン脇の池はぎりぎりまで接近させるスタイルが多いが、リースはクラブ側の意向を尊重したのか離したハザードが多かった。設計者が譲歩したのかと思った。

<佐藤謙太郎>
池とグリーンが離れ、水のハザードの恐怖感がない。最終18番、グリーン左の池ももう少しグリーンに近づけられなかったかなあ?

<中嶋隆雄>
グリーンと池の間の傾斜地や周辺の窪み(ポケット)をトーナメント時に短く刈り込むことで、ボールが池に吸い込まれるように設定したり、難しいライになったりするのは面白いと思った。(リース自身は「08年全米オープン用に改造したトーリー・パインズで実行したアイデア」という)。だから「池のあるグリーンには必ず池に向かって傾斜するアンジュレーションをつけた」とも言っている。

Q4. 結論として、リースの改造設計への評価は?

リース・ジョーンズはこの改造について、「日頃はメンバーの方が楽しめ、大きなトーナメント開催時には難易度を増すことが出来る、フレックス(fl ex=融通のきく、適応性のある)なコースになっている」と説明した。
さらに、設計家にとって「設計は歳をとればとるほど技術、知識、創作力が上がる。私のこれまでの長い人生の中で学んできたすべてを注ぎ込んだ、いい改造ができたと思っている」とコメントした。

<武居振一・協力会員>
リースがこれまで行った名門コース、ベスページ・ブラック(Bethpage,Black、02年)やザ・カントリー(TheCountryClub、88年)など全米オープンを目指した改造設計ではショート・パー4(距離のないワン・オン可能なホール)など距離のバリエーションを採り入れていたが、茨木・西にはもともとショート・パー4ホールがなく、この試みが出来なかったのでは?
グリーン周辺の起伏のハザードやバンカーの造形などはオープン・ドクター<Wョーンズとして、この改造設計に歴史的評価を認めたいと思った。井上誠一時代にはないモダンな戦略性があるからだ。

<川田太三>
茨木・西のリース・ジョーンズの仕事は“改造設計とはどうあるべきか?”を考えさせるものだった。以前のイメージを変えるのか? または機能を回復するのか? リース自身の意識はどちらの目的にあったのか?はこれからのコースの成長、自然との調和によって見えてくるのではないだろうか。しっかりと地に足がついた改造設計だと思った。

(文責・西澤忠・名誉協力会員)

 

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