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月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2016 Apr. 協力:一季出版(株)
第34回 桜ヶ丘カントリークラブの巻
 

原設計/ 赤星 四郎
改造設計監修/ 大久保 昌

 一口にコース改造といっても様々なケースがあり、これまで各コースに応じて検証してきた。
 いずれのケースにせよポイントとなるのは、コース側(会社側)の“意向”だ。改造ディレクターにしてもその意向によって決められるし、決められたとしてもディレクターの独断で改造が進むことはない。
 今回、桜ヶ丘カントリークラブの改造にあたった大久保昌氏も、「改造を進めるにあたってディレクター側が強すぎると難しい。やはり“途中”から入るわけで、コース側の狙いとの確執が強いと止めてしまう例も多い」と語る。
 問題点はいかにコース側との折衝をスムーズに運べるかだろう。今回は大久保氏の丁寧なプレゼンテーションと、それを理解して計画にゴーサインを出した理事会(コース側)の強力な指導力によって、難しいとされる2グリーンの1グリーン化を推進し成功させた桜ヶ丘カントリークラブの例を見よう。

桜ヶ丘カントリークラブは昭和35年8月開場

 眼下に多摩川の清流を臨む、緩やかな丘陵地に18ホールがレイアウトされている。京王線で府中方面から多摩川の鉄橋を渡ると右奥に麗峰富士を望み、左手に緑豊かな丘陵地が見え、その緑の中に桜ヶ丘カントリークラブは広がっている。そして桜の季節には鮮やかな桜が点在し、美しさを誇示している。
 もちろんゴルフコースとしてのステイタスも見逃せない。設計は数多くの名コースを手掛けた赤星四郎氏。自然の起伏を生かし、距離こそやや短めだが、コースレートは71.8(現在)。ゴルファーの球趣を満たすには十分。
 いずれにしても新宿から特急に乗れば、1時間足らずでクラブハウスという近さは魅力で「10年前よりは2割ほど減っているが年間来場者は3万9千人」と田中智之副支配人が語るように、昨今のゴルフ事情の中では人気コースといえる。
 現経営会社の京王レクリエーションの名が示すように経営母体は京王電鉄。したがって電鉄役員も名を連ねる理事会をいかに説得し、理解を得るかが改造のキーポイントだった。

周到なプレゼンテーションによって1グリーン化を図る

 今回の改造は「開場50周年事業の一環として1グリーン化を目指すものでした」と田中副支配人。
 1グリーン化を目指すとは微妙な表現だが、当初から「まず1グリーン有りき……」ではなかったようだ。
「最初から1グリーンという計画ではなかった。やはり芝のメンテナンスを考えてのことでしょうが、理事会へのプレゼンを経て最終的には“1グリーンで……”という方向性を得ることができました」と改造監修にあたった大久保昌氏は語る。
 大久保氏のグリーンに対する考え方はあくまで1グリーンだ。
「本来、ホールを攻めるターゲットとしてのグリーンは一つであるべきだと考えます。ホールはティグラウンドから菱形になってグリーンまで絞られていくもの。従って2ベントは1グリーンへの移行過程にあるべき……」という考え方である。しかし大久保氏は、このゴルフ思想を大上段に構えて1グリーン化をゴリ押ししたわけではない。
「まず1グリーン化して、万が一失敗したらという営業的なリスク、グリーン管理からの不安などを、新芝種の対応(ニューベント007)で説得。また現状のままではボールの打ち込みなどの危険箇所が多く、1グリーンによってスペースを確保して改修したい旨を理事会で説得した」(大久保氏)
 大久保氏が嫌ったのはこの危険箇所が多いこと、その対策のための防護網の存在だった。「名コースに金網はそぐわない」と感じていた大久保氏。この危険箇所を整理するには、1グリーン化によって生じたスペースを生かすしかないと説得したのだ。
 電鉄側のトップもこの説得には心を動かされたようだ。
 2009年の春から工事を開始し、Aグリーン(メイン)工事中はBグリーンにより営業を継続した。そして大きな営業的負担も生じず、2010年11月にAグリーンは完成した。

改造計画の多面性・大久保氏の総合プランとは

「50周年記念事業の一つとして、長くいい状態を維持できる本格的グリーンに改造する」というものがこの改造の大命題だった。この命題を満たすべく、いいグリーンとして備えるべき条件を三つの求められる観点から割り出した。
 まず「プレーヤーから求められるもの」、次に「芝草を育てるのに求められるもの」、最後に「管理者から求められるもの」だった。
 これらの条件を精査しグリーン改造計画が決定する。
 ニューベントグラスの導入。サンドグリーン化。グリーン基盤をUSGA方式に改善。1グリーンで維持できる大きさ(510〜570平米)にする―などである。
 またボールの打ち込みを避けるために、1グリーンとしての位置の見直し、Bグリーンを本グリーンに入れ替え、ティグラウンド位置の見直し、カート道、管理道路のルート見直しなども考慮。これらの見直しが危険箇所の整理につながってゆく。また1グリーン化によるグリーン撤去跡の再造形、植栽及び池の新設などの修景についても計画された。
 こうした細部にわたる計画によってコース全体が「ホールの顔」を持った締りのある姿に変身したといえる。
 肝心な安全性の追求もスムーズに行うことができた。大久保氏の考えでは「プレー上想定される打球範囲は、センターラインから左右15度角のなかにあり、その確度は92パーセント」であり、これを指針として打球シミュレーションによる検討を行った。
 その結果、隣のホールから飛球範囲内にある、3番ティ、5番のAグリーン、10番ティ、11番Aグリーン、17番ティなどを見直すことにした。
 単にグリーンだけでなく大幅な改造を強いられたのは2、3、4番ホール。9、10番ホール。16、17番ホールだった。
 こうした案件を整理しつつ、2008年11月に全体改造計画の確定。2009年3月にグリーン改造計画、ティグラウンド改造設計の確定。一部コース改造設計を2009年5月に確定した。
 営業しながらの改造工事ということでは、2009年2月からサブグリーン(単独で営業を継続する)の改修を先行。
 本工事は2010年5月に播種。一部ティグラウンド、コース改造、新グリーンのターフづくりを進め、2010年11月にAグリーンは完成した。
 この完成で工事が終了したわけではなく「1グリーンの見極めのため3年ほど2グリーンで営業し、最終的に1グリーンでの運営に問題がないと判断をいたしました」(田中副支配人)。やはり管理側の心配は大きかったということか。しかし1グリーンでOKとなり、2013年から2年をかけ、撤去工事が進められた。
 周到な計画により改造の評価はいい。2015年の10〜12月期は前年入場者数を上回ったとか。
 大久保氏のプレゼン及び理事のゴーサインによって、50周年記念事業としての改造は成功裡に進んでいる。グリーン跡のオカメザクラの植栽などまだまだ進行形。日々変化していく桜ヶ丘カントリークラブの将来が楽しみではある。

(文責・井口紳)

 

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