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フォーカスオン 現代のコース設計家
月刊ゴルフマネジメント Architect's Corner  2017 Nov. 協力:一季出版(株)
第4回 倉上 俊治
 

ゴルフコース設計家を職業としてどうとらえたらいいのだろう。
ゴルフコース未開の地で、新たにコースデザインし、自由な用地にホールをレイアウトし……。となればゴルフというゲームをエッセンスにした“デザイナー”という色合いが濃い。しかしながらゴルフコースである以上、ゴルフの文化や思想を取り入れなければゴルフコースにはなりえない。
そしてそのフィールドが自然の地形である以上、土木工事を着実に進め、芝草の育成、樹木の管理、雨水排水、利水にも気を配る必要がある。まして昨今は、爆発的な雨量を前提にコース造りを進めなければならない。
となるとコース設計家という職業の道は、多岐に渡っているといえる。最初から「コースデザイナーに……」という道は少ない。

今回登場いただく倉上俊治氏の場合はどうであろうか。埼玉県出身、昭和18年生まれ。東京農業大学農学部造園学科を卒業し、同大ではコース設計家としても知られる佐藤昌教授に師事した。佐藤教授のもとで都市計画、公共緑地、公園墓地、スポーツ施設、日本庭園、ゴルフコース設計、造園史、植物管理学などを学んだ。
大学卒業後、都市計画研究所に入所。この間コース設計家の下山忠廉氏、山崎康次氏、鈴木利夫氏らにコース設計、コース植栽、コース管理を学びながら夜学で土木工学も学んだ。これらの経緯は、現在のコース設計家・倉上俊治氏の核(コア)を醸成したといってもいいだろう。昭和50年末に都市計画研究所を退職後、ゴルフに本格的に関わるべくクラレ不動産に入り、ゴルフコース管理(大平台CC)に従事した。
その後の活躍は現在に至るもので、独立後(昭和52年)本格的にコース設計にとりかかった。

コース設計の端緒は佐藤昌氏のアシスタントから

倉上氏のコース設計との接点は、佐藤昌氏設計、監理の長竹カントリークラブからだった(昭和44年開始、46年開場)。その後、倉上氏はコース設計、改造・改修にあたっているが「佐藤先生から、コース設計は現場に入って地形、地質、気象を把握しコース造成のノウハウを学ぶことが必要であると言われた」と話す。
ティー、IP、グリーンの測量による位置出しなども、この時実地に学ぶことになる。
長竹CC以後は7カ所のコース設計監理をした後、学生時代からコース管理をしてきた経験を生かしてクラレ不動産の大平台CCのコース管理を経て独立するが、昭和52年7月にジェームス・ワトソン博士の推薦で米国スーパーインテンデント協会に入会し、最新コース管理を学び今年で40年になる。独立してからコース設計・監理及びコース管理の仕事のオファーが来るようになった。
独立後設計・監理に携わったゴルフ場をあげると南長野ゴルフ倶楽部(長野)、下仁田カントリークラブ(群馬)、太平洋クラブ美野里コース(旧美野里GC、茨城)、赤城ゴルフ倶楽部(群馬)など。
倉上氏の温厚な人柄と熱心さで、ゴルフ関連の人脈にも恵まれ、佐藤教授をはじめ、鈴木利夫氏らから乞われてアシスタントとして参加しているコースも多い。伊香保CC、桐生CC(共に群馬)、本厚木CC、清川CC、長竹CC(いずれも神奈川)の改造などだ。
「アシスタントというのは、実際に現地に張りついてコース造成を細かく見ていく訳ですが、佐藤先生の図面はあるが、それを自然にそのままなぞっていくのは難しい。図面で表現された一ホール、一ホールがうまくレイアウトの中に収まってくれるか。18ホールのレイアウトが自然と融合してくれるかどうか。これは例えば絵と一緒で最終的には感性と経験でしかないんです」と倉上氏は語る。
どうすればゴルフ場にスムーズな流れで収めていけるかは、その設計者の感性……。
その感性の有無。音楽家でいえば絶対音感のような感性が必要ということになろうか。倉上氏は「コース設計家が目指すのは地形の特色を生かし、自然と融合したコースを創ることであり、力だけではなく頭脳も要求し、誰でもが楽しめるコース造りである」と話す。
では、どうやってその感性を養っていけばいいのだろうか。
倉上氏の場合には、出身は造園学、土木工学、コース管理学であり、美大のデザイン科ではない。これは個人が持っているゴルフのセンス、コースの造形、樹木などを多くの先達から学ぶ他はない。
「コース設計のイロハは学べます。スタートホールは西向き、上がりホールは西陽を背にして……なんていうのは最低限の決まり事。
2番や11番にパー3を置くとプレー進行上よくない……など設計上の約束事は学べます。でも感性……となると、多くの先達のコースを見て学ぶか、書物から学ぶか……」ということで、倉上氏は数多くの洋書にも目を通してきたという。

設計家は平面的にも時間的にもコースをプロデュースしていく

「勉強になったのは、ロバート・トレント・ジョーンズ・シニア。父親の方ですが、著書の『近代コース設計の考え方』には大いに感銘しました。その影響からでしょうか実際に海外のコースに足を運び、できればプレーして味わう。そうしてはじめて海外のゴルフコースを理解できると思いました」
倉上氏のコース“巡礼”は数多い。世界的に名コースと呼ばれているコースへは貪欲に足を伸ばしている。
「大変勉強になったのはオーガスタ・ナショナルでした」。倉上氏のいい所は単にコースを見、プレーする(これだけでも大変だが)だけでなく、コース管理のキーパーにじっくり話を聞いたことだろう。「そこで学んだことは、広い面積を管理するには正確な各ホールのデータを踏まえてコース管理を進めることです。今日のコース管理は職人気質の“勘”は通用しない」であり、コース設計者が考えるコースを維持管理しなければならない。
またオーガスタ・ナショナルの対極にあるスコットランドのリンクスにも足を運んでいる。
「設計家の加藤俊輔氏に同行して、リンクスを回りました。自然の地形と気候を生かしたコースはゴルフの原点であり、じっくり浸ることができたのが何よりの収穫でした」と倉上氏。
ピカッと感じたのはロイヤル・ドーノックだったとか。
「書物を読み、コースを訪れプレーをしたことで、設計の考え方が広がりました」と倉上氏は語る。
「結局、設計者は基本設計、改造・改修にしても、単にゴルフコースという平面だけでなく、時間的にもコースを見守っていく感覚が必要で、時間が経過すればコースは変化し建造物は老化します。例えば雨水排水は山岳や丘陵コースでは防災のために調整池と堰堤を造りますが、堰堤といっても15mを超えると大ダムになり、国(国土交通省)の認可が必要となるので、堰堤の低いダムを考える。何よりコンクリートダムはいずれ劣化し、土砂で埋まり、数十年たてば土砂を取り除く保全が必要となるでしょう」と倉上氏。
設計家は、コース全体のプロデューサーとして数十年後の安全にも責任を持つということなのだ。
倉上氏が設計監理を行った下仁田CCの場合、防災設備は調整池、堰提と、雨水の疎通能力を増やす河川改修も必要で、周辺の住民にも喜ばれているとか。
設計家という仕事。多岐に渡った内容を見ると、やはり一筋縄ではいかない仕事のようだ。それでも倉上氏は新コースへの情熱は留まっていない。国内だけではなく海外に目を向けて、「自然との共生」をテーマに取り組んでいる。

(文責・井口紳)

 

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