ワン・グリーンに対する特別な意識は持っていないが、ホールのバランス、プレー上のターゲット(中心)としてのグリーンの位置付け、及びコスト管理等を考えると、ワン・グリーン・ベースがよいことは理解できる。まさに「シンプル・イズ・ザ・ベスト」といってよいだろう。
ツー・グリーンの発想は、高温多雨の四季をもった日本独特の気候条件のもとで、よりよい芝(冬場)でプレーを楽しませたい、夏用と冬用の芝で対応すれば、コンディションのよいグリーンができるということになるからだ。
寒地型の芝の研究とメンテナンス技術が進んでいなかった当時としては当然だったかもしれない。これもまた先人の知恵であり、今では日本独自のひとつの財産のような気もしないではない。
確かにこれからは改造も含め、ワン・グリーンが主体になっていくだろう。これまではワン・グリーンの方が良いと提案しても、クラブの方針であるとか、キーパーに管理能力がない、などといわれればそれに従うほかはなかった。
私たちは自由に設計を依頼される場合もあり、ツー・グリーンという条件付きの場合もある。それでも設計者は独自のコンセプトに基づいてデザインを完了させなければならないから、宮廷画家のような立ち場といってよいのかもしれないとも思っている。 |