改造・設計例Renovation Design examples
東京五日市カントリー倶楽部
所在地:東京都あきる野市網代745
Phone:042-595-0111
コース:27holes
- 西 3002yards、Par 35
- 南 3262yards、Par 36
- 東 2651yards、Par 36
開場日:1973年7月
設 計:小寺 酉二 改造設計:嶋村 唯史
改造設計概要
東京五日市CCはユニークな3方式によるワン・グリーン化改造に挑んだ。2009年から3年かけて、27ホールを西・南・東コースの順に工事を完了した。
一つは直営プロジェクト(ゼネコンを利用せず、現場のスタッフに専門家を導入)。二つ目は、設計家はコーディネーター(調整役)で、クラブ側の理事会、各委員、会員の意見を集約して、現場の工事に反映させる役目。三つ目はエコな改造工事。都内の建設残土を利用してリスキーなホールの高低差を緩和し、結果的に大きなイメージアップにつながった。
この行程のまとめ役は小林正義氏であった。(元社長、現顧問、クラブ対抗に出場30年、ハンディ0)
改造テーマについて
嶋村唯史氏
デザインの見直しで、パー3ホールには池を採り入れ、個性的で印象に残るものに、パー5ホールはよりダイナミックで戦略性の高いホールにと考えた。
グリーンは平均600㎡のワン・グリーン化。グリーンの輪郭が明確になり、周囲にスペースも生まれ、OBになるようなトラブル・ゾーンがなくなり、リカバリー・ショットが可能になった。
南コース7番ホール(570y・パー5)の池にはビーチ・バンカーを配置。
池に沿った逆レダン型グリーンは右奥から左への傾斜で、ピンが右に立つほどハザード越しになり難度も上がるが、勾配は2%ほどで、キツイ勾配ではない。勾配の基本的な考え方は“分かりやすく難しい”をテーマにし、シンプルなスロープライン(大きなうねり)を使い、スネークラインを避けた。

各グリーンに個性的なガード・バンカーを配し、グリーンとの組み合わせで変化を求めた。バンカーはその位置、大きさ、向きで花道(入口)を教える“道標”と考えた。
エコな工事の実現について
小林氏
京王線の調布付近の路線を地下トンネル化する工事があり、そこから出る建設残土をコース改造に役立てた。残土の規模はおよそ10万~15万㎥。総工費約8億円のところ、残土処理の収入が3億にもなり経済的に大きく役立った。
残土を利用した地形変更の方針について
嶋村氏
大きなテーマはホール全体のアップダウン解消だった。
西コース4番ホール(502y・パー5)では谷合の狭いフェアウェイの地盤を残土で6~8m嵩上げした。左右の樹木も伐採し、ボールが飛ぶ空間を広げる改修を行った。
名物ホールだった南コース6番の急激な登り勾配のフェアウェイをなだらかな傾斜にして、パー5ホールをパー4とパー3の2ホールに分けた。その分、2番と3番ホールをつなげてパー5ホールにして、パー・バランスを保った。
GCA JOURNAL No.14(2014年12月発行)より