写真掲載許可 ザ セイントナイン東京撮影 佐藤 謙太郎
コース設計とはCourse design
ゴルフ場を造る際には、候補地の地形条件などを検証し、ホールの配置(ルーティング)や形状、ティーイングエリア、フェアウェイ、バンカーを含む各種ハザードの配置を図面上に明示する必要があります。
また、デザインは大きく分けて次の3つのプランニングによって構成されます。

写真提供: 川奈ホテルゴルフコース
コース設計のフロー

マスタープラン
ゴルフ場設計の「マスタープラン」とは、ゴルフ場全体の基本的なレイアウトとデザインの指針を示す総合的な計画図のことです。これは、ゴルフ場を建設・運営するうえでの土台となるもので、以下の内容を含みます。
- ホールの配置(ルーティング)ゴルフコースの各ホールがどのように連続して配置されるかを決めます。ルーティングは、プレーの流れやプレーヤーの移動のしやすさ、地形の特性などを考慮して計画されます。
- 各ホールのデザイン要素ティーイングエリア、フェアウェイ、ラフ、バンカー、グリーンといったプレーエリアやハザードの配置を含みます。プレーの難易度や戦略性を設計に反映させるために、距離や形状、障害物の位置が工夫されます。
- 環境保護と景観設計自然環境への配慮や、景観を活かしたデザインも重要です。水路や池、森林、植栽など、景観とエコロジーのバランスを考慮しながらデザインします。
- インフラの配置クラブハウスや駐車場、カート道、歩道など、プレーヤーやスタッフが利用する施設の配置もマスタープランに含まれます。
- 法的・技術的な検討土地利用の法規や環境影響評価、土木工事の技術的な検討も重要な要素です。土地の地形や排水計画など、現地の状況に応じて適切な設計が行われます。
マスタープランは、ゴルフ場の完成度とプレーの満足度を左右する重要な設計段階であり、全体のバランスと調和を保つための指針となります。
サイトプラン
ゴルフ場設計における「サイトプラン」とは、特定の敷地内において、ゴルフコースや関連施設がどのように配置されるかを詳細に示す計画図のことです。これは、マスタープランに基づき、個別のエリアや構造物の位置、配置の細部を具体的に設計する段階です。サイトプランは以下の要素を含むことが一般的です。
- 各ホールの配置詳細各ホールのティーグラウンド、フェアウェイ、ラフ、バンカーグリーンなどのエリアがどのように敷地に配置されるかを細かく計画します。地形の起伏や植生の状況に合わせたデザインを行い、プレーの戦略性や景観を考慮します。
- 周辺施設の位置クラブハウスやレストラン、駐車場、カート置き場など、ゴルフ場を利用するための施設の配置もサイトプランに含まれます。これらの施設は、アクセスや利便性を考慮し、ゴルフコースとの位置関係が適切になるように計画されます。
- インフラと動線の設計カート道や歩道、道路、駐車エリアなど、プレーヤーやスタッフが移動するための動線も詳細に計画します。また、給排水や排水施設の位置、電気設備などのインフラも配置され、土地の特性に合った設計が行われます。
- 景観・環境保護エリア景観の向上や自然保護のため、植栽エリアや保護すべき森林、池、川などの自然エリアを設ける場合もあります。これにより、ゴルフ場の美しさとエコロジーの両立が図られます。
- 施工のための技術的配慮地形の改変が必要な場所や土木工事の範囲、造成計画なども明示されます。これにより、建設の際に効率的かつ持続可能な施工が可能となります。
サイトプランは、現場での具体的な工事のガイドとなり、ゴルフ場が計画通りに完成するための重要な指針です。また、細かな配置やインフラの計画は、運営やメンテナンスの効率にも影響するため、長期的な視点でも重要な役割を果たします。
デザインプラン
ゴルフ場設計における「デザインプラン」とは、ゴルフコースの全体的なビジュアルや戦略性を設計する段階で、プレー体験や景観の特徴、各ホールの難易度と個性を具体化するためのデザイン指針です。デザインプランは、プレーヤーに楽しさと挑戦を提供するための計画であり、以下の要素を含みます。
- ホールごとの特徴と戦略性各ホールの難易度やテーマ、プレーの戦略性を意図的にデザインします。たとえば、特定のホールで挑戦的なショットが必要になるように、バンカーや池を配置してリスクと報酬のバランスを取ります。
- ハザードのデザインと配置バンカー、池、川、植生などのハザードをどこに配置するかも重要な要素です。これにより、プレーヤーにさまざまなショットの選択肢を与え、コース全体の戦略性や難易度が決まります。
- 景観デザインゴルフ場の美しさや自然との調和も考慮し、周囲の風景や植生と一体となるような景観デザインを行います。たとえば、既存の木々や地形を活かしながら、プレー中に見える風景が魅力的になるように設計します。
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画像掲載許可 鳴沢ゴルフ倶楽部
Design artwork by Tadashi Shimamura写真掲載許可 鳴沢ゴルフ倶楽部
- グリーンの形状と傾斜設計グリーンの大きさや形、傾斜の度合いを決定し、パッティングの難易度や戦略性を高めます。グリーンの傾斜はパッティングの方向や速さに影響するため、緻密な設計が求められます。
- ティーイングエリアの設計初心者から上級者まで幅広いプレーヤーが楽しめるよう、ティーイングエリアの位置や高さを調整します。ティーイングエリアの位置により、ホールの難易度を変えることができます。
- フェアウェイの幅と形状フェアウェイの幅、起伏、曲線のデザインにより、ショットのしやすさや戦略性が変わります。特定の角度からのショットが有利になるようなカーブを作るなど、プレーの流れを意識した設計が行われます。
デザインプランは、プレーヤーにとっての「遊び心」と「挑戦」を提供しつつ、ゴルフ場全体の美観と環境の調和を図る重要な設計段階です。